証拠能力と証明力の違い

よくごちゃまぜになるんで。

http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/risk/fas/200503/01.html
証拠を取り扱う際、証拠の証拠能力と証明力について理解しておくことは非常に重要です。すなわち、調査をする者として、どのような証拠が法廷に提出される資格を持つのか(証拠能力の問題)、これによって事実が認定されない場合というのはどのような場合か(証明力の問題)、を理解することが必要なのです。証拠能力とは、その証拠を事実認定の資料として用いるための証拠の形式的な「資格」のことです。証拠能力があるかどうかは、法律によって定められており、裁判官において自由に判断することはできません。一方、証明力とは、その証拠が裁判官に心証を持たす力があるかどうかの実質的「価値」のことをいいます。証明力の有無・程度は個々の証拠によって千差万別であることから、法律はその判断を裁判官の自由な心証に委ねています(これを「自由心証主義」という)。ここで注意しておきたいのは、実質的にどんなに価値のある証拠(証明力が高い証拠)でも、違法な手段で入手した証拠等形式的に証拠能力のないものは、事実認定の基礎とすることはできないということなのです。すなわち、証拠の証明力は、証拠能力のある証拠について初めて判断されるものなのです。民間が行う調査によって入手する証拠も、将来的に訴訟等で証拠物として利用されることを念頭に、証拠収集の全ての過程において適正な取り扱いがなされることが必要です。

http://opcgi.rikkyo.ac.jp/cl/2003/internet/tunen/hogaku/araki/keiji_sosyo-19.html
〔証拠能力と証明力〕について。これら2つの用語をきちんとの使い分けなければならない。証拠能力がある証拠とは、法により、法廷における犯罪事実の証明のために使うことを許されている証拠のことである。反対尋問を経た後の供述証拠、違法な収集方法を経ていない証拠などである。他方、証明力とは、証拠の持つ信用性のことである。例えば、憲法38条1項が保障している黙秘権を拷問などにより侵害して得た供述証拠には、証拠能力がない。しかし、その供述証拠に証明力があるか否かは別問題である。
証拠能力と証明力との区別は、陪審制においては明確である。すなわち、証拠能力の有無の判断は、検察官・弁護人の意見を踏まえて裁判官が行い、証明力の判断は陪審員が行う。換言すれば、証拠能力のある証拠とは、陪審員の目に触れさせて良いと判断された証拠である。これに対し、職業裁判官制を採るわが国の刑事裁判実務では、後述する虚偽排除説と結びついて、証拠能力と証明力との区別が明確ではない。

http://cl.rikkyo.ne.jp/cl/2005/internet/tunen/hogaku/araki/keijisosyohou/keijisosyohou_19.html
証拠能力とは、その証拠を事実認定に使って良いことを意味する。自白について刑事 訴訟法319条1項は、任意性という表現をしている。証明力とは、その証拠をどの程度 信用して良いかを意味する。この二つの概念を理解するには、陪審員制度で行う裁判が 分かりやすい。事実認定を行う陪審員の目にその証拠を触れさせて良いかが、証拠能力 の判断であり、検察官と弁護人が裁判官と協議し、裁判官が決定をする。陪審員は、示 された証拠の信用性すなわち証明力を判断するのである。しかし、陪審員制度を採って いないわが国では、証拠能力も証明力も裁判官が判断するので、両者を混同したような 扱いがなされている。

http://www.mizogami.gr.jp/news/ne_back/jim1307L9.htm
「自分で書いたメモですが、証拠になりますか。」、
「署名だけで、判子はないけど、証拠になりますか。」
よくいわれる質問ですが、法律家の目からすれば、この質問は、2つの意味が混じっています。
どのようなものが証拠となり得るのかという質問と証拠になり得るとして裁判に有利になるものかという質問です。
法律的な用語からすれば、前者を証拠能力の問題、後者を証明力の問題といいます。
証拠能力に関しては、民事訴訟においては、証拠能力は原則として無制限といわれています。
すなわち、書面であれば、ありとあらゆる書面が証拠となり得ます。相手と取り交わした契約書、合意書、示談書等はもちろん、自分で書いたメモ、日記、判子がない書面、ホームページの印刷などなど全て証拠となり得るといえます。
証拠能力の例外は、手形のように、提出できる証拠が法律によって、限定されている場合もあります(民訴法352条)が、この点について具体的には各論編でおいおい記述したいと思います。
証明力の問題は、各論編で述べた方が分かりやすいでしょう。
法律問題によって、どのような証拠があれば最も役に立つか異なるからです。
一般的には、紛争の相手方との合意した書面であれば、もちろん、証明力は高くなる(すなわち、勝つ可能性が高くなる。)。誰にもしられず自分だけで、裁判が起こってから書いたものは、証明力が低くなるということは当然にいえることです。