被害者に特権を与えるな

【眞悟の時事通信】刑事訴訟は大丈夫か
 この被告人が犯人かどうかが分からない段階つまり犯人かどうかを判断する審議の過程に、被害者を参加させて証人の尋問や被告人への質問の権限を与えることが被害者保護になるとは思えない。
(略)
 つまり、刑事裁判は、古来は被害者の加害者に対する復讐だったであろうが、近代に入るに従い、復讐の要素を捨象して、訴追を公益を代表する検察官に委ねて被害者から切り離したうえで、裁判官という第三者の立場の法律家の前で立証活動をさせる構造になった。

げにもそうじゃのう…。

そもそも被害者の保護されるべき権利ってなんじゃ?って話なんだけど、刑事裁判に参加するって権利はもともと持ってなかったわけで、今回この法律の「改正」で新たに付与するよってことなんだから、それは保護と呼ぶに値しないでしょ。保護じゃなくて、権利付与だよ。追加だよ。増強だよ。いや、だいいち権利(right)ですらないのでは。むしろ特権と呼ぶほうが実態に近い。

だいたい刑事裁判に参加したからって被害者にとってなんのメリットがあるというのか。せいぜい裁判員ら法廷の当事者を動揺させて被告人に厳しいジャッジを下すくらいのことで、そんなことをしたって被害者のこうむった損害はなに一つとして回復されない(それどころか被告人を不当に陥れることになるし)。そういうことよりも、たとえば経済的な保障をするとか、精神面でエンカレッジするとか、もっと優先的にやることがあるっしょや。