卵について

卵はあたりやすいという誤解がヘンに広まっているため、少しでも日にちが経ったり、ひびが入っただけで捨ててしまう人がいる。けど、卵は思ってる以上に日持ちがする。

http://www.nichirankyo.or.jp/ansin/amsin01.htm

たとえば保存温度が10℃のとき、生で食べられるのは57日までと、およそ2ヶ月近く。保存温度29℃でも15日、なんと約2週間も持ってしまう。29℃といえば真夏の昼間の気温なみ。もちろん真夏であっても冷蔵庫に入れて一定温度で保存すれば57日も食べられるのだから、卵の底力はまったく侮れないのである。ちなみに、これはイギリスのハンフリー博士の研究によるサルモネラ菌数から算出したもの。店頭で売られる卵は、この期間より短めに賞味期限を設定している。

また、賞味期限を少し過ぎても、生で食べられなくなるだけで、加熱すればまだまだ安全に食べられる。

殻が大事

ひびの入った卵は傷みやすくなるので早めに食べてしまったほうがいい。というのは、卵の殻は中身を保護する役割を持っていて、ひびが入っていると、殻の表面に付着するサルモネラ菌が、中身を汚染しやすくなるから。もっとも、ひびが入ったものでも、よくよく加熱すれば安全に食べられるのであまり心配しなくてもいい。

殻の表面にはクチクラ層(キューティクル)と呼ばれる層があり、これが雑菌の混入を防いでいる。洗ったり、拭いたりすると、このクチクラ層がはがれてしまい、かえって傷みが早くなってしまうので、買ってきたら何もしないで冷蔵庫に入れるほうが長持ちする。卵はもともとサルモネラ汚染率が少なく、しかも工場から出荷されるときすでにお湯で洗浄されているので、わざわざ洗いなおす必要はない。洗うほうが危険なのだ。

生が大事

賞味期限が近くなると、ゆでるなど加熱して保存期限を延ばしたくなってしまうが、実は逆効果。卵は生のままのほうが日持ちする。殻も割ってはいけない。

色は大事じゃない

殻の色が違うのは、親鶏の品種の違い。栄養や風味に違いはなし。

黄身の色が濃いのは、ただ単にエサの違い。パプリカなどの色つきのエサを使うと、カロチノイド色素によって色が濃くなる。栄養も大して違いはない。「色が濃いから栄養もたっぷり」などと言ってる業者がいたら、それはインチキなので相手にしないほうがいい。

物価の優等生だと言わないほうがいい

「卵は物価の優等生だ」とよく言われるけど、あまり言わないほうがよさそう。

物価の上昇により、それにつれてエサ代や人件費が上がるのは自然なこと。それなのに、消費者側に「卵は値上がりしないものだ」という意識があると、生産業者や小売店は値上げしにくくなる。値上げできなければ、とうぜん赤字になる。そうすると、赤字を埋めるためにいわゆるブランド卵を扱わざるをえなくなる。有精卵、栄養強化卵などだ。これらは普通の卵に比べて、それほど栄養、安全性、風味ですぐれているというわけでもないのに、価格はかくだんに高くなる。品質は大して変わりないのに、あたかも高品質であるかのように誤解させて高値で売っているわけだから、はっきり言うとペテンに近い商法だ。生産業者や小売店に、そんな詐欺的商法に手を染めさせるのは残念。これには消費者にもいくらか責任があるんじゃないか。

卵は、栄養豊富で安全性も高いうえ、しかも旨いときてる。とても優秀な食品なので、少しくらい高くなっても大目に見たいよね。

参考:【日本卵業協会】
参考:【JA全農たまご株式会社】