パペ教授

【パレスチナ情報センター】パペから学ぶ歴史認識と多文化共生 via 【思考錯誤】
パペ氏の研究の専門は、48年のイスラエル建国をめぐる国際政治史、およびパレスチナ社会の破壊に関する実証史研究です。イスラエルの国家的「正史」は、「世界に離散するユダヤ人が荒野のパレスチナに結集し、自らの手で土地を耕しゼロから国家をつくった」というものであり、建国にまつわる暴力性は完全に隠蔽されています。
しかし実際には、500にも達する数のパレスチナ人の村が48年前後に破壊され、100万人ものパレスチナ人が虐殺・追放されたとも言われます。つまり、イスラエル国家はパレスチナの村々の廃墟の上に建てられたというわけです。
この相対立する歴史観は、イスラエルにおける「歴史修正主義論争」として知られ、1990年代に活発化しました。パペ氏はこの論争のなかで、もっとも厳しくイスラエルの正史を批判した歴史家であると同時に、イスラエル国家をユダヤ人だけの独占物にしようというシオニズムを断固として批判する「反シオニスト」の論客でもあります。
ユダヤ人のパペ氏は、このために「裏切り者/非国民」というレッテルを貼られ、イスラエル国内では窮屈な思いをさせられていますが、しかしアラビア語にも堪能な彼は、それゆえに他の群を抜いた歴史検証の厳密さからイスラエルの正史批判を行なっており、その研究能力・言語能力によって多くのパレスチナ人の友人を得ています。

事実を事実として語ったら裏切り者扱いされます。