新政権と記者クラブ

神保さんや上杉さんがお怒りのようで。

【twitter】Tetsuo Teddy Jimbo (はてブ)
総理就任会見を取材するために上杉隆さんら記者クラブ非加盟社の記者たちと総理官邸で直談判。 鳩山総理から直接どうぞと言われて来たのに門番の権限で追い返すのかと凄んだら中までは入れたが、結局官邸報道室が認めた記者しか会見には出れないとのことで全員門前払い。

【ダメだめ編集長日記】新聞が書かない民主党の「公約破り」 (はてブ)
【アゴラ】「記者クラブ開放」の約束は嘘なのか (はてブ)

はてブとかの訳の分かってない人たちはともかく、事情をよく知るはずの山口一臣さんまでトンデモないこと口走ってるのは、なんだかなぁ。政権発足の初日で達成されてないから「公約破り」って、あーた……。マニフェストって数年がかりで達成してって数年後に評価されるべきもんでしょ。ペナントレース初日の一回で三者凡退したくらいで優勝捨てたみたいな言いがかりですね。ましてやマニフェストに掲げられてすらいないことをどうやって「破る」ことができるのよ。メディア業界に身を置きながら業界の悪習に批判的スタンスを明らかにするのはご立派なもんだけど、論法が粗雑すぎますって。あーあー、さっそく釣られちゃってる人たちが続出ですよ、もう。こんなの批判と呼ぶに値しない。単なるデマですね。

神保さんも書いてるけど、官邸において民主党は新参のよそものであって、記者クラブ開放を阻んでる主体は何なのかってのはきちんと意識しておかなければならない。暴走ドライバーが出たからといって自動車メーカーに難癖をつけるのはおかしな話であってですね。新政権のクラブ開放方針がただ単に現場へ伝わってない、警備等の問題で実施に時間がかかっている、あるいは現場レベルで反抗が起こっているという可能性もある。いずれにせよ民主党政権が主体となって記者クラブを擁護しているという証拠は、今のところはまだ出ていない。ダム建設などは閣僚が発表される以前からブレーキがかけられていたし、民主党が記者会見をクラブ加盟社以外にも開放していることはメディア関係者ならよく知られているはずなので、官邸スタッフやメディア関係者が独断専行している可能性はなかなか否定しがたいものがある。

山口一臣さんによると、メディア関係者が鳩山さんやその秘書や側近議員に電話を入れるなどして「メディアを敵にまわすと政権をつぶすぞ」と脅迫したことになってますが、まあ、まずありえないですね。そんなことわざわざ口に出して言わなくても現場の人間には肌で分かってることですし、ヘタに明言して言質を取らせるような真似をするはずがないではないですか。やんわりと言外に匂わせることはあるでしょうが、こんなにはっきり言いきることは考えられませんね。ていうか、民主党はずっと前から記者会見を開放してたんだから、そんな運動をするくらいなら政権交代前にとっくにやってるはずでしょう。ウソっぽいですね。

メディアに受け(視聴率とかの数字ね)のわるい政権がメディアにつぶされるってのは、政治の世界では常識の範疇に属することがらであって、わざわざ口に出して言うような必要はない。小泉さんは受けがよかったので一挙手一投足、何をやっても好意的に宣伝されたし、安倍さんは「空気が読めない」ので受けがわるく、何をやっても難癖をつけられたし(大臣の絆創膏がどうしたっつーのよ?)、クラブ加盟記者に挑戦的な態度をみせた麻生さんも、何をやっても否定的な取りあげられかたをした。民主党の牧山議員が、小麦価格が高騰しているので価格調整してほしいと訴え、その話のマクラにカップ麺の価格を尋ねて麻生さんが答えられなかったことがあるが、メディアには麻生さんが庶民感覚からズレているということにされてしまった。もういちど言っておくが、牧山さんは麻生さんの庶民感覚なんかちっとも問題にしていない。もっともこの問答をどういう切り口で報じようとそれはメディアの勝手なんだけど、明らかに麻生さんを貶める意図があった。

【今だけ委員長の独りごと】民社国連立内閣が発足 官僚よりも米国とたたかえる布陣なのか…

社民党「『押し紙』による部数維持、部数拡大第一主義から脱却しきれていないのではないか。景品で『売る』ようなやり方はおかしい。拡販員への苦情も多い。低水準に置かれたままの販売店で働く人たちの労働条件の改善も必要。経営の多角化や広告料収入の減少などで、本業の取材や記事にしわ寄せがくるのはおかしいのではないか。読者・市民の新聞への信頼を増すような、特色ある新聞づくりをもっと進めていく必要がある」。

社民党は「押し紙」の存在に不満を募らせ、販売店従業員の労働条件の改善についても言及しています。いちばん的を得ている回答だと感じますが…。

社民党テラアグレッシブwwwww

他の政党が一般論として八方美人的にうまーくまとめようとしているのに対し、社民党だけが、いい意味での空気読めてなさで一直線に切り込んでるのは見ていて気持ちがいいし、新政権に期待感を抱かせるよね。党代表は消費者庁の担当相に決定したわけだし、この調子で続けてくれたらいいんだけどなー。

【新聞販売黒書】黒薮が完全勝利、著作権裁判の高裁判決
 著作権裁判で東京高裁は16日の午後、読売新聞の江崎法務室長の訴えを棄却する判決を下した。判決内容については、後日、明らかにするが、基本的には地裁判決をそのまま認定したもの。
 江崎氏が最高裁に上告するか否かにかかわらず、最高裁の門はきわめて狭く、裁判は実質的に黒薮の完全勝訴で終わった。
 今後は、このような裁判を起こした者の責任追及にステージが移る。

読売新聞がフリージャーナリストに嫌がらせ裁判をしかけて敗訴したというお話。旧メディアも、いつまでも旧態依然としてたら取りのこされちゃいますよ。

【論駄な日々】メディア研究のつどい

業界全体が悲鳴を上げるなか、NPOとの協働に活路を見出し、部数を伸ばしている新聞社があります。「協働」の中身は、全20ページの月曜版のうち4ページを、地元NPOに完全に委ねたことです。NPO側がどのような記事を掲載しようとも、新聞社は一切口出しせず、ときにリスクを背負いながら掲載し続けています。

これは面白い試み。こういう精力的なところに向かって言うのもなんだけど、最近の新聞社は独自取材能力が落ちてきているので、仕事の一部をこうして他人に肩代わりさせるのも良案かもしれない。ここで刺激を受けて本職の記者も張りきってくれると思いますしね。