秦墓から欧州系の人骨

秦時代の墓から欧州系の人骨 via 【del.icio.us / otsune /】

秦時代の墓から欧州系の人骨 学説より1世紀早く交流か
2006年07月02日19時53分

 中国陝西省西安市郊外にある秦(紀元前221〜同206年)の始皇帝陵の近くの約2200年前の墓から出土した人骨が、DNA鑑定の結果、欧州系の特徴を持つ男性のものであることが、同省考古研究所や復旦大学(上海)などの研究グループの調査で分かった。始皇帝陵の建設労働に携わったとみられる。研究者は従来の学説より1世紀ほど早い時期に、すでに中国の中心部と中央アジア西アジアなどの民族との間で交流があった可能性を指摘している。

 陝西省考古研究所によると、墓は2003年に始皇帝の陵墓の近くで見つかり、121人分の人骨が出土。このうち50人分の人骨について、復旦大学現代人類学研究センターに依頼し、DNA鑑定を実施した。担当した同センターの徐智さんによると、1人分の手と足の遺骨が、遺伝子的に現代の欧州系に多い特徴を持つ15歳以上の男性のものとみられることが判明した。前漢(紀元前202〜紀元後8)の時代にシルクロードを通じた東西交流が盛んになる前に、中国と欧州系の民族との間に接触があり、人的な交流があったことも推測されるという。

 同考古研究所の段清波・研究員によると、多数の人骨が埋葬される形式から、墓は社会的身分の低い者たちが埋葬されたもので、欧州系の男性も何らかの理由で中国に来て、始皇帝陵の建設に従事させられた可能性が高いという。段研究員は「始皇帝の中国統一の時期に文化や芸術面でも東西交流があったのではないか」と話している。