ソーシャル傍点サービス その2

略してSBS。その2。まだまだやんよ。

そもそもどうしてそんなことを思いついたのか

というと、【分裂勘違い君劇場】の直近エントリを見ていて、元のエントリで強調された箇所に疑問があったから。「いちいちそんなところを強調する必要はないだろう」「筆者はなにを訴えたいんだろう」、と。傍点をふるなり、下線を引くなりしてフレーズを強調する目的には、

  1. その記事の結論を簡潔にまとめる
  2. 結論を導くために必要な前提を確認する
  3. 読者が了解していないだろう事実を提示する
  4. 誤読を避けるためフレーズの多義性を制限する

などがあると思う。しかし上のエントリにおける強調箇所は、どれにも該当しないように思った。

そのとき、自分でもなぜだか分からないが、ふと、これは筆者自身による強調ではなく、あまたいる読者のだれかによる強調なんだ、というデタラメな解釈が直感的に意識へ飛びこんできた。それも1秒後には、んなわけねーか、と自分の常識にかき消されるのだが、それと同時に、おや、これはなかなか使える考えでないの、とも思った。次の瞬間、数えきれないほど多くの読者がそれぞれ思い思いに記事中にアンダーラインを引き、そこへ自分なりの解釈、疑義、補足などをびっしりと書きこみ、それらに参照されている元エントリのフレーズが注目の度合いに応じて存在感の大きさに応じてそのフレーズの文字が大きくなるイメージが浮かんできた。

前回エントリはそれから30分くらいで書きあげたもの。書いてる途中でも、その着想自体が次から次へと新たなイメージを招きよせてくれるのを感じた。あ、もちろんSBSってのはソーシャルブックマークサービスにからめた語呂合わせ。

実際、需要はあるのか

というと、あると思う。

語呂合わせのために傍点だと言ってるけど、私はむしろ、これは基本的に記事への「ツッコミ」機能だと思っている。私はかなりの部分ではてなブックマークはてブ)を意識している。はてブでは、任意のエントリをブックマークするときにコメントを付けることができ、それはもともとユーザが自分で参照するためのメモ書きのつもりで設計されたものだと思うが、いまや記事に対するDISりや、ユーザ同士のコミュニケーションツールとして使われている。これ。エントリ中に共感できるフレーズがあればその箇所を指差しながら「その通り!」と相槌を打ち、疑義があればその箇所を指差しながらDISり、typoがあればその箇所を指差しながらfixする。【ニコニコ動画】を見たとき、中村屋FLASHを見ながら「中村屋!」とか言うやつ、絶対出てくるだろうなと思ったんだけど(ニコニコ動画はまだFLASH動画には対応してないので無理っす)、つまりそういうノリ。いま思いついたが、【wema】のようなweb付箋の延長線上にあるのかもしれない(wemaはURL指定により任意のwebページにユーザが文句を書きつけた付箋を貼ることができる。仕様ではページ作者がJavaScriptによりwemaを呼びだす必要があるが、技術的にはwema側の仕様変更によりページ作者の意向とは無関係に付箋を貼るようにもできた)。

はてブでも2ちゃんねるでもそうなんだが、なにかコメントしようと思ったとき、どのフレーズに対するコメントなのかを明示する機能に欠けている。だから、このコメントはこのフレーズに対するものですよと参照先フレーズをわざわざ引用したりする。それは、ちょとめんどい。ソーシャル傍点だと、コメントとその参照先が明快に関連付けられているので、そういう煩わしさがない。しかも、エントリ(パーマリンク)を対象とするはてブと違って、1つのページにいくつでもコメントが付けられるので、もっと柔軟に、こまやかにコメントすることができる。

そういうことを考えると、そこそこの需要はあるだろうなという感じがする。

どう実装していくのか

それが最大の問題だと思う。一番スマートなのはブログそのものの正規機能として実装してしまうことなんだろうけど、これだと異なるブログサービス間の連繋が問題になるかもしれないし、なによりその機能を有さないブログや旧テキストサイトをまったく捕捉できないことになってしまう(そもそも私自身にブログのような大がかりなものを設計する能力がないヨ)。だから実際には、専用サーバを1台用意して、そのデータベースにURLとそれに関連するコメントを登録させ、ユーザがそのページを開いたときデータベースからコメントを呼びだすしかないだろうなと思う(呼びだされたコメントはJavaScriptなどでページ中に埋めこむことになるだろうか)。

しかしそうすると、このサービスの一番のキモである、その記事中のどこからどこまでに傍線を引いたのか、という情報をどうやって記録するかが問題になってくる。対象ページには目印になるタグなどが書かれているわけではないのだ。ファイル先頭から何バイト目という記録のしかたもできない。というのは、テキスト広告などが自動的に挿入されるページは多く、そうでなくてもカレンダーの日付やアクセスカウンターなどにより、リロードするたびに後につづく文字列を後ろへ(ときには手前へも)追いやってしまうことが結構あるからだ。同じ理由によりDOM構造を参照することでも根本的な解決は期待できないだろう。対象フレーズの目印は対象フレーズそのものしかないように思われる。かといって、対象フレーズをそのままアンカーとして用いることができないことは、「てにをは」などが対象フレーズになっていることを思えばすぐに予想される。しかも元エントリのフレーズが書き換えられることを考えれば、さらに悩ましい事態になる。

また、1つのページに複数のURLが与えられている場合なども考慮しなければならない。これについては、はてブもすっかりお手上げで、たとえばこれこれこれこれこれはまったく別のページとして扱われている。そうせざるを得ないのだ。しかし、そうするとどうしても「知」の所在が分散してしまう。はてブですら解決できていないのだから、ソーシャル傍点でも解決しようがないだろう。

perlか、PHPか、rubyなら簡単なスクリプトくらいは書けるので、私が実装してもいいんだけど、私はあまりコーディングがうまくないしそれほど好きでもない。それよりもコーディングが好きで好きでたまらないという人が実装した方がうまくいくと思う。だれかやってくんないかなぁ。最後は他人様かよ。