スタンフォード監獄実験

ああ、やっぱりそうだったのか。と思った以下の件。

【WIRED VISION】人が悪魔になる時 via 【▼CLick for Anti War】
スタンフォード監獄実験を指揮したとき、私は囚人役たちの苦しみにまったく無関心でした。監獄長としての私の仕事は、看守に焦点を合わせることだったからです。

(実験の)中心となって(科学的に)研究する立場にいた私の仕事は、すべての被験者に何が起きているか気を配ることでした。被験者全員が、実験をコントロールする私の手の中にいたからです。しかし、いったん監獄長としての役割に意識が切り替わると、私は別人のようになりました。信じがたいことですが、私は変容したのです。

すこし前*1に『奇跡体験!アンビリバボー』というTV番組でこの実験が取りあげられていたが、実験を行った心理学者ジムバルドさんを異常な人格を有するマッドサイエンティストのように描いていて非常に腹立たしい思いがあった。それはジムバルドさんに対する誹謗中傷でもあるし、番組製作者はこの実験により与えられた教訓をまったく理解していないと思われた。ごくごく平凡で善良な人々であってもそうした状況や役割を与えられただけでいかようにも残虐になりうるという、もっとも重要な教訓をもっともひどい形で裏切っている。実験の中止を求めた女学生がのちのジムバルドさんの妻であることにも触れられてなかった。

ただし、ジムバルドさんがかような異常事態に直面しても粛々と実験を続行したのは、かれ自身が「実験者」の役割を与えられていたからだ、と説明するならそれは理解できると思った。実験の詳しい内容も事後の総括がいかになされたかについても承知してなかったため、そういう解釈もありうるという程度に考えていたが、上記の言葉をみて腑に落ちるものが大きかった。さすがはえらい学者さんだ。自分の失敗をさえも考察の俎上にあげているし、それが個人的な反省にもなっている。

それにひきかえ『奇跡体験!アンビリバボー』のずさんさといったら…言葉にならない。きっと製作現場という「状況」があのような浅薄な解釈を要求したのだろう。

*1:去年から今年にかけてだと思ってたらまるまる2年前かよ!ふざけんなよ時の流れ!マジしね!ww
http://d.hatena.ne.jp/bitterender/20060518#p1