最近読んだ本 その2

御社の営業がダメな理由 (新潮新書)

御社の営業がダメな理由 (新潮新書)

これは率直にタメになる。個人の能力には限界があるのでスーパー営業マンを期待するな、それよりも現行メンバーのポテンシャルを引きだし切れていないので、マネージャーがこれを引きだす工夫が必要とのこと。具体的には営業日報を廃し、マネージャーは毎日、営業マンにヒアリングを行う。ここぞというときは同行営業する。ヒアリングを行うことで上下の連帯が強まるとも。


くだらない。読んではならない。時間のムダ。著者は外資系生保でかくかくたる成績を収めたというので、もうちょっと技術寄りのことを期待してたんだが、最初の数ページで「夢は叶う」「諦めるな」「試練はチャンス」といった救いようもない言葉があふれる。もうそれだけでこの先読まなくていいやと判断できる。実際、読んでない。こんなもん1500円で売るな。


となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ)

おなじ著者の『苦情学』を一般向けにリライトした続編とのことだが、大きく3章に分かれる。第1章は苦情対応の事例集、第2章は苦情社会の到来について、第3章は苦情対応の技術だが、なんといっても面白いのは第1章の事例集だ。何度読んでも爆笑モノ。第3章でそれらの対処方法について解説されている。ただし第2章はまったくよろしくない。それは以下の箇所からだけでも理解できる。

しかし、現代は、「苦情社会」と言っていいほど、苦情やクレームが多くなってきています。誰もが苦情を言い、言われる人になる。また誰もがクレーマーになり、その被害者になる、そうした可能性が高まっていることは否めないと実感しています。
(略)
そこで紹介された保護者からの苦情例を挙げてみましょう。(小野田正利『悲鳴をあげる学校』より
「窓ガラスを割ったのは、そこに石が落ちていたのが悪い」
「けがをした自分の子どもを、なぜ、あんなやぶ医者に連れて行ったのか」
「学校へ苦情を言いに来たが、会社を休んで来たのだから休業補償を出せ」
「運動会はうるさいからやめろ」
「野良犬が増えたのは、給食あるからだ」
「今年、学校の土手の桜が美しくないのは、最近の教育のせいだ」
(略)
これと同じ事態が、三〇年前でしたら、こんな言い方だったと思われます。
「貴重な財産である学校のガラスを、子どもの手元が狂い割ってしまいました。申しわけありません、お代金の請求をしてください」
「けがの手当が早かったおかげで、大きな傷は残らないそうです。担任の先生にもよろしくお伝えください」
三つ目は言い換えることができませんし、当時はこんな申し出はなかったでしょう。それにしても大きく変わったものです。

苦情やクレームが多くなってきていることを実感しているとのことだが、引用された事例はすべて小野田氏の著作からの引用であり著者の実体験ではない。また著者がクレーム対応の部署にいたのは直近の8年間だけなのだから30年前のことを語ることはできないはずだ。30年前の「言い方」というのも著者の想像にすぎない。現代との比較対象が著者の想像する過去なんだから、大きく変わったも何もないもんだ。


人はなぜマンガ喫茶に集まるのか?

人はなぜマンガ喫茶に集まるのか?

マンガ喫茶の運営責任者が語るマンガ喫茶の歴史、現状、未来。マンガ喫茶が有望な産業であることはよく理解できたが、ただし書名にいう「人が集まる理由」はきちんと掘りさげていない。紹介されていた印象的なエピソードを引用する。

CASE1 インターネットシネマを楽しまれたお客さま(60代 女性Yさん)
Yさんがご来店されたのは「新しく出来たマンガ喫茶って、いったいどんなお店なのか実際に見たいと思ったの。」と、興味を持っていただいたためでした。Yさんはいつもこのお店の近くにある病院に行くために、このお店が新規オープンする前から何度もこの店の前を通っていたそうで、「マンガ喫茶って何をするところ? カフェというくらいだから、お茶を飲んだりお昼ごはんを食べられたりするのかしら?」と考え、お店の新規オープンの日にご来店いただいたのです。
後から聞いた話なのですが実はこのYさん、長期で入院している旦那様の看病の為に病院通いをされているのです。朝6時に起きて身支度を整え、掃除洗濯とご自身の朝食を大急ぎで済ませ、朝8時には家を出て病院帰りにスーパーに立ち寄り、夜9時に帰宅するまで、雨の日も風の日も毎日毎日病院に通い続けること約半年。いつも旦那様がお昼を食べ終え少し仮眠をお取になるそのあと、ご自身の昼食を取る為に病院近隣の飲食店に向かわれます。「病院の近くのお店で食事をすませ、ちょっと休憩したあとで病院に戻り看病するのが私の日課なの。今ではその2時間が唯一自分の為に使える時間なのよ。」と、私に朗らかに笑ってお話になっておられました。
そんなYさんがご来店くださった際にびっくりされたのは、インターネットで映画が観られる事。当店ではインターネットで配信されている『シネマチャンネル』が導入されているのですが、これに強く興味を持たれたようでした。
当初の来店動機は「このお店でお茶を飲んだり食事をしたり出来るのかしら?」と言う事を確かめに来られたはずのYさん、実はかなり映画がお好きなご様子。
「旦那が元気な時はよく映画館に行ったり、レンタルビデオ店を利用したり、洋画も邦画も韓国映画も二人でいろいろ観たのよ」との事。「でもこの半年はそれどころではなかったので、レンタルビデオも観てないわ。それがこんなところで映画が観られるなんて」と、とても嬉しそうにお話になり、そ以来3日に一度はご来店されるようになりました。
特にパソコンに詳しい訳ではないYさん。普段ご自宅では小学2年生のお孫さんとのメールのやり取りでパソコンを触る程度であったそうですが、『シネマチャンネル』を観るための操作はいたって簡単なので、ご不便は感じなかったようでした。
お店のオープン日にご来店いただいてから2ヶ月後、Yさんの旦那様は退院され今ではご夫婦で仲良くご来店いただいております。
マンガ喫茶と言うと一人で利用される方が多いのですが、実は2人以上でご利用できる席もあります。Yさんご夫妻にも、この2人用のシートをご利用いただいています。


苦情学―クレームは顧客からの大切なプレゼント

苦情学―クレームは顧客からの大切なプレゼント

『となりのクレーマー』の著者の本。いま読んでる。ぱらぱらページをめくってみた感じでは、こちらの方が実践的な内容かという印象。