日本人の被害者的側面も受容する韓国人
戦犯国である日本が、第二次世界大戦の被害国の国民として原爆被害の痛みを語るたび、割り切れない気分になる。加害国にもかかわらず被害国の顔をする日本が不当に思えるからだ。 しかしこのマンガを読んでみると、こんな考えに変化が生まれるかも知れない。広島への原爆投下によって、そこに住んでいた多くの民間人たちは、その理由さえ分からないまま命を奪われたからだ。貧しくても熱心に働いて、良い人にめぐりあい幸せな家庭を作ろうとしていた、そんな無邪気な人々が何の理由もなく、大義名分もなしに死んだのだ。特別な大望も持たず熱心に生きてゆく人々の穏かな生を、暴風のように襲った原爆の痛み。それは一世代のみで終わったのではなく、なおも進行形として見られるということを、穏かで感動的な文体で描いている。まだ終わらない戦争が存在するのだと伝えてくれている。 広島の被爆の痛みはいまだに現在進行形だ。われわれはその痛みを忘れてはいけないのだと憶えておくことにしよう。
これはもうひとえに『夕凪の街桜の国』の功績かと。でも私はまだ読んでない……。
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/10/12
- メディア: コミック
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