曹操の船

《捜神記》
濡須口の水中に巨大な船が仰向けに沈んでいて、水が引くとその船底が浮かび上がる。土地の長老たちは曹公の船だと言っている。
むかし一人の漁師がその船にもやいを結んで夜営したことがあった。すると笛だの琴だのの音色が聞こえてきて、やがて芳しい香りもただよい、まったく不思議な様子であった。漁師の寝入りばな、だれかが駆けよってきて「お上の芸妓に近付いてはならぬ!」と言われたが、それは夢であった。
言い伝えによると、芸妓を載せた曹公の船がこの場所で転覆し、現在までそのままになっているとのことである。