関羽の千里行

関羽が千里行の途中で遭遇する人物の多くが、関羽の死にからむエピソードを持っている。関平とか周倉とか普浄とか胡班とか。

ということは、この千里行自体が関羽の死の伏線になっているということだ。
そうすると、やや唐突に思われる廖化の登場も関羽の死に関係しているのかも知れない。史実では関羽が殺されたとき自分が死んだとの虚報を流して敵の追補を免れている。もしかしたら羅貫中が参考にした元ネタがあって、そこで例えば廖化は千里行途上の関羽に出会ってその側近となり、関羽が殺されたあと身を隠し、のちに呉に復讐するといったような史実を半分だけ踏まえたストーリーがあって、しかし史実の廖化は蜀滅亡まで生きているので、羅貫中関羽の死にからむ部分だけを削除して現行のストーリーに書き直したのかも知れない。

関羽と全く関係のない人物として『平話』に登場している周倉が『演義』では千里行以来の関羽の側近とされているのは彼が元ネタの廖化の役割と差し替えられたからではないか。

唐突といえば南陽陳震がかなり前倒しして登場しているのも同じような事情で蜀の王甫あたりと入れ替えになっているのかも。