日本経済再建への道

また【藤原直哉のインターネット放送局】日本と世界にひとことからテキスト起こし。

改めまして、こんにちは。8月27日、藤原直哉の「日本と世界にひとこと」、今日は臨時版ということでお伝えしたいと思います。タイトルは「日本経済再建への道」です。


28日の朝のNHKの『ビジネス展望』で話をする予定だったんですけども、何回か、朝、地震がありまして、その地震で放送が流れちゃった人がいて、選挙前にどうしても流してほしいとNHKに言ったらしくて、ディレクターが泣きついてきて「代わってくんないか」と言うので、「まあ、いいですよ」ってことで代わりまして、放送ができないので、なんかしゃべろうかなと思ってた話をこのラジオでちょっと言っておこうかなと思います。


なにせNHKなんてところも――民放も最近はおんなじですが、選挙前は非常にピリピリしてまして、だいたい半年に一回ぐらい、次の半年間の予定表を送ってくんですが、それは今回、ご丁寧に「選挙が近づいてるので中正公平なる放送を行いたいと思いますので、よろしくお願いします」なんて書いてあって、ものすごくピリピリしてるというような状況ですね。なにせ『ビジネス展望』は生放送なんですよ。ですから一言言っちゃったらおしまいってなところがありまして、ラジオの方は、テレビと違っていきなり自民党の幹事長から電話がかかってくるようなことはないんじゃないかと思うんですが、それでもずいぶんピリピリしてましたね。ですから、この放送とNHKを比べてみると分かると思うんですが、NHKの方は言いたいことはあんまり言わないようにやってるところがありますから……。まあ、そういうことで今日はこのインターネットラジオの方でちょっと簡単に、10分弱ですけども、お話していこうと思うんです。


今年に入りまして株もちょっと上がってきたんですが、実はもうものすごい不景気ですね。とくに6月、7月、8月がですね、小売関係、サービス業関係、ものすごい不況になっていて、それから製造業なんかもトヨタで100万台の生産設備を削減するって話がいきなり出てきましたね。要するに、もう実は景気が全然よくないんですよ。今年後半から来年の目処が立たないというところが結構多くて、どうしても世界大恐慌から逃れらんない状況に、今、なってるんですね。けっきょく所得がぜんぜん増えていないんで、これでは需要は盛りあがりようがないということなんですね。ですから政治とはまったく別のポイントで、不景気なんですよ。


しかも不景気がどんどん広がっていて、ここにきて正社員の削減っていうのが本格的に始まりそうなんですね。これはとにかく失業者が大量に出るという感じなんですね。このあいだ出ました経済財政白書を見ますと、企業内失業者が600万人ぐらいいる。いま完全失業者が350万人ですから、足すと1000万人ですよ。ですから1000万人の失業者が実質的にいるということですね。これは大変なことでありまして、つぎに政治がどうなろうが、とにかく失業対策ってのがきわめて重要な課題になってくるというのが一つのポイントですね。


それから選挙ですけども、尻上がりに民主党の優勢が伝えられてきておりまして、もう自民党は政権を失うだけじゃなくて、党が維持できないところまで票が減る、当選者が減るという感じのようですね。そうしますと、小泉・竹中グループ、――清和会を含めてですね、政治の特殊的な権益、――国有財産の強奪でしたからね、小泉・竹中改革は。こういうことNHKじゃ言えないんですが、――ここなら言えるんですが、国有財産の強奪をやったわけなんで、その強奪に与ってて私腹を肥やした連中は、もう店じまいをするか、逃げるか、逃げらんなくて弁慶の立ち往生になるか、その選択をいま迫られてるわけですよね。まさかそんなことはないと思って必死に勝てると思ってやってんですが、やっぱりダメだと。そしたら今度は民主党のなかに手を突っこんじゃおうと。民主党のなかに手を突っこんで大連立だとかね。あるいは榊原(英資)だとか寺島実郎だとか、あのへん持ってきて、自民党とおんなじように変えて生きのびようと画策してるんですが、それはもう無理ですよね。勢いに流されちゃうし、それで300議席を越えるような勝利ってことになれば、もうそれは小沢(一郎)の実力じゃないですから、――風が吹いたってことだから、小沢が大事だって話にならなくなってきますからね。小沢もだんだん失脚――失脚っていうか影響力を失っていきますから。そうするとやっぱりこの醜い政治は、まあ無理ですね。あと民主党のなかにいろんな連中がいますけども、けっきょく素直に公約に言ってるとおりの政治をやらないと、民主党のなかで変なことする連中がいたら、すぐにそれは排除されていきます。それぐらいに勢いができてますから。一つの大きな流れがてきたと思うんですね、政治は。


したがって、この選挙の結果によって店じまいを迫られるような企業が出てくるわけね、金融機関なんかも含めて。それはやっぱりよく注意して見てなきゃいけないと思うんですよね。とくに株価がですね、その会社だけボンと下がったり、ボンと下がるのを食いとめるためにものすごい買い物入れて出来高がボンと膨らむような会社は、正直言って危ないんじゃないかなと思ってるんですね。


それから株式市場は、この夏、中国でついに株式バブルがはじけた感じですね。中国発で株価の下落がいま世界中に広がりつつあって、まあ一進一退になってる部分はありますけども、とにかく基本的に中国で株バブルがはじけた感じなんですね。さあ、これ立て直せるかどうかなんですけども、まあ政治もゴタゴタしてきておりますし、ドルのこともあるし、アメリカの国債を売るか買うかって話もあってですね、なかなかこれは難しいと思うんですね。やっぱり今回は中国発で本格的にバブルの崩壊が始まったんじゃないかと思うんです。そうすると、これから秋ですよね。秋は中国発でもう一回、いわゆる第三次金融危機で世界中の株が下がって、これで全部おじゃんですよ。本当に、金融の再建だってなんだって……。もう一回、不良債権が山のように出てきちゃって、けっきょく債務超過になるところが出てきて、今度は本当にぜんぶ国有化だと。もうこの半年間、まあ10ヶ月ぐらいのあいだにやった救援策がぜんぶ水泡に帰すということになるんじゃないかなと思うんですね。だからこんなデタラメやっちゃいけなかったんだけど、やっちゃったわけですから、そのツケはきわめて大きいと思うんですね。


で、ちっちゃい新聞記事で載ってましたけども、住専のときの不良債権で、最終的に国民負担になるものが3000何百億円あるって話が出てますよね。住専の問題って15年ぐらい前の問題でしょ。その当時の不良債権がまだ残ってんですよ。何度もこの放送で言ったと思いますが、昔の不良債権はもうぜんぶ残ってんですね。だれかが黙って抱えて持ってんですよ。抱えきれなくなってくるのが出てきてんですよ。最近、日銀はゼロ金利政策をやめてるでしょ。ゼロ金利政策をやめてアメリカとの金利も逆転するぐらいですから、不良債権処理は加速されるんですよね。ですから、そういう意味でこんど第三次危機が来ると、不良債権処理もかなり本格的にやんなきゃならなくなる。で、金がない。国債を刷る。国債を刷ったら金利が上がる。民主党がやろうが誰がやろうがね、まあその辺がどうするかって話になってきますね。


こうなってくると経済については、本当に新規まき直し、やり直しっていうことが必要ですね。とにかく経済について新しい国策がなきゃダメですね。もう構造改革はダメだと否定されている。それから昔のようなお上にベッタリ型の談合経済もダメだと。じゃあどうするんだと。本当に新しい国策がいるんですね。これは方針っていうこと言ったら、まあ地方分権っていうのがありますよね。それから生活重視っていうのがありますから、そういう流れのなかで、経済をどう着地するかですね。それは、わたくしが前から言ってるように、観光でも、農業でも、それから国の大掃除みたいなことも必要だし、それから製造業はやっぱりクオリティの世界ですよ。少量でも高品質のものを作れるような総合的な体制を作っていかなきゃいけませんね。要するに、いいものを作って、少量でも売って、金を稼げる体制だけは維持しなきゃいけませんから。そういうことで、経済のものすごく大きな組み替えをしなきゃなりませんね。それはまさに渋沢栄一の時代の――明治時代とおんなじだと思いますよ。新しい産業を勃興させなきゃいけません。そのためには新しい金融システムを作らなきゃいけません。もうユダヤ金融はこれでおしまいですから、新しい金融は日本国内で作りあげるわけですね。これは大変なことなんですよ。


まあ民主党の綱領っていいますか、政策を読んでも、そこまで踏みこんだ話はどこにもないですから、まだイメージが湧いてないんだと思うんですね。やっぱり経済のことよく分かんないんですよね。自民党もよく分かんなかったけど、民主党もあんまり分かってる様子がなくて、これから来るものすごい世界的な金融の大混乱についてあんまり認識がないようなので、ここはちょっと大変だから経済界もみずから立てなおしをしてですね、経済界として「こうするんだ」ということ言ってかなきゃダメですね。もう財界はダメですから、あれ。経団連なんか、もうこれで自民党がおしまいになりゃ一緒におしまいですからね。で、つぎを支える会社なんかもういないんだから、まともな中小零細企業を中心に、本当にいわゆる経済界というものも作りなおしていかなきゃいけませんよね。もうタテ型ではなくてヨコ型に作りなおしていくわけで、まあそれも大変な作業なんだけれども、やらないと、この国は立ちあがれないと思うんですよね。とにかく失業者もたくさん出てきそうですから、本当に政治の変化と経済の新たな変化が重なってきたって感じなんですね。


で、やっぱり総合的なリーダーシップという意味で政治に対する期待は非常に強いし、民主党に任せたというよりも、この時代の流れを民主党が任されたということなんですね。だからそこを民主党が誤解すると大変なことになるわけで、ですからとにかくこの日本経済再建の道はとにかく政治がしっかりリーダーシップをとって、経済を立てなおすということをやらなればならないんでね。もうとにかく多少持ちあがっただなんていう景気も下向きはじめちゃったわけですから、もう待ったなしなんですよね。ですから、とくにこの秋、金融危機を含めていろんなことが起きるでしょうから、そのなかで何ができるか、というところですね。本当に経済人もよっぽどここを覚悟して行動していかなきゃいけないんじゃないかな、そんな感じがしますけどもね。


まあ、というところで、今日の藤原直哉の「日本と世界にひとこと」、「日本経済再建への道」臨時版ということでお伝えいたしました。では、またお目にかかりましょう。さようなら。