黒薮さんの著作権裁判について出版労連

まるごと転載です。

黒薮哲哉さんが読売新聞社から提訴された「著作権裁判」の判決についての談話


新聞社が公表している発行部数の「偽装」問題を追究し、その社会的責任を追及し続けている黒薮哲哉さん(出版労連・ユニオン出版ネットワーク組合員)に対して、読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志氏が起こした「著作権裁判」の判決が、3月30日午後1時35分、東京地方裁判所627号法廷で、清水節裁判長より言い渡されました。判決の主文は「原告の請求を棄却する」というもので、被告・黒薮哲哉さんの完全勝訴でした。

出版労連はこの判決を全面的に支持するとともに、ご支援いただいた各界の皆さまに厚くお礼申し上げます。

そもそもこの裁判自体が、私たち出版界で働く者の目には、黒薮さんに不当な圧力をかけるためのものであるとしか映らない、非常識なものでした。この「著作権裁判」の経緯については、概略で次のような内容になります。

前述の江崎氏が取引先の販売店代理人(弁護士)に送った文書を黒薮さんが自身のホームページ「新聞販売黒書」に掲載したところ、その削除を求めて江崎氏が「催告書」を黒薮さんに送ってきました。黒薮さんが今度はその「催告書」を「新聞販売黒書」に掲載したところ、「催告書」が江崎氏の著作物であるという主張に基づいて、その削除を求める仮処分を東京地方裁判所に求め、それを裁判所が認めたことから本裁判となったというものです。

江崎氏が黒薮さんに送った「催告書」が著作物でありえないことは、出版業で働く私たちの目には明らかでした。当然、大メディアである読売新聞の法務室長や弁護士が、同じ見解を持たないはずがないと、私たちは考えていました。つまり、純粋に著作権を争うことが目的なのではなく、黒薮さんに圧力をかけ、「偽装問題」への追及の手を緩めさせようという、言論弾圧を目的としたものであると、断じざるをえなかったのです。

また、こうした主張が通ってしまえば、行政や企業の内部文書を入手してその問題を伝える調査報道が大きく制約されてしまうという、大きな懸念も持っていました。

東京地方裁判所は、まっとうな判断を下してくれました。この判決が持つ意義はとても大きいと思います。

黒薮さんは今回の「著作権裁判」の他に、「名誉毀損」で読売新聞から訴訟を起こされています(さいたま地裁で係争中)。こちらも言論弾圧を目的とすると言って過言ではありません。

出版労連は、「言論・出版・表現の自由」を前面に押し出してとりくんでいます。黒薮さんが被告となっている「名誉毀損裁判」に対しても、全力でとりくんでいきますので、各界の皆さまの絶大なご支援をお願いいたします。


2009年3月30日 日本出版労働組合連合会(出版労連)

中央執行委員長 津田 清

【黒薮哲哉さんが読売新聞社から提訴された「著作権裁判」の東京高裁勝利判決についての声明】


押し紙著作権裁判」で、2009年9月16日に東京高裁は、原告の控訴を棄却して「原審の判断を維持する」という判断を下しました。

 この「押し紙著作権裁判」とは、新聞社が公表している発行部数の「偽装」問題を追究し、その社会的責任を追及し続けている黒薮哲哉さん(出版労連・ユニオン出版ネットワーク組合員)に対して、読売新聞西部本社法務室長の江崎徹志氏が起こした「著作権侵害差し止め請求」の裁判です。

3月30日に出された東京地裁での判決は「原告の請求を棄却する」というもので、被告・黒薮哲哉さんの完全勝訴でした。それを不服としての控訴審で、原告側の訴えは再び退けられたのです。

出版労連はこの判決を全面的に支持するとともに、ご支援いただいた各界の皆さまに厚くお礼申し上げます。

そもそもこの裁判自体が、私たち出版界で働く者の目には、黒薮さんに不当な圧力をかけるためのものであるとしか映らない、非常識なものでした。前述の江崎氏が取引先の販売店代理人(弁護士)に送った文書を黒薮さんが自身のホームページ「新聞販売黒書」に掲載したところ、その削除を求めて江崎氏が「催告書」を黒薮さんに送ってきました。

黒薮さんが今度はその「催告書」を「新聞販売黒書」に掲載したところ、「催告書」が江崎氏の著作物であるという主張に基づいて、その削除を求める仮処分を東京地裁に求め、それを裁判所が認めたことから本裁判となったというものです。

この「催告書」について原審である東京地裁は、「実質的な作成者は原告の江崎氏ではなく、原告代理人または代理人の事務所の者である可能性が極めて高い」と認定し、「催告書」は江崎氏が作成したものではないとの判断を示しました。

この判断は、江崎氏と読売新聞社が、他者が作成した文書であることを知りながら自らに著作権があるという虚偽の主張をして提訴した、不当訴訟であることを実質的に認めたことを意味します。つまり、黒薮さんに対する言論弾圧であったことを、東京地裁も認めたということです。

そして今回の控訴審で、東京高裁もそれを支持したということです。この判決が持つ意義はとても大きいと思います。

黒薮さんは今回の「著作権裁判」の他に、「名誉毀損」で読売新聞から訴訟を起こされています(さいたま地裁で係争中)。こちらも言論弾圧を目的とするものと言っても過言ではありません。

出版労連は、「言論・出版・表現の自由」を運動の基本としてとりくんでいます。黒薮さんが被告となっている「名誉毀損裁判」に対しても、全力でとりくんでいきますので、各界の皆さまの絶大なご支援をお願いいたします。
以上


2009年9月17日 日本出版労働組合連合会(出版労連)
出版・産業対策部長 前田 能成