ル・コルビュジエも剽窃を批判されている

家具デザインには意匠権が認められるけど、このケースでは意匠権にも関わってない。芸術家としてどうか、という話。

シャルロット・ペリアン自伝

シャルロット・ペリアン自伝

北代美和子訳『シャルロット・ペリアン自伝』
私たちが一九二九年春に巻き起こした騒ぎは、装飾芸術家サロン組織委員会に衝撃をあたえ、同時にその目を覚まさせたのだろう。一九三〇年、委員会は、ドイツの前衛、ドイッチャー・ヴェルクブントをパリに招き、現代芸術の一大展示を企画したからだ。これは大成功をおさめ、石頭の「ル・タン」誌記者には私たちの悪口を言う機会をあたえた。「一九二五年、ブロイヤーは初めて金属の椅子を展示した。その椅子は以来、他人の褌で相撲をとってばかりいる連中数名によって、罰せられずに複製されてきた。連中は原始的な騒々しいマニフェストでわれわれに偽物を本物と信じこませようとしている。なぜならば、次のことを銘記してほしい。何人かのスイス系フランス人デザイナーが独創性と自称するものは、ドイツで見たことの模倣だからだ。だが、オリジナルではわれわれを感動させるものも、複製では嫌悪感を起こさせる」

ブロイヤーの金属椅子とは世界で初めてスチールパイプを素材に用いたクラブチェア(ヴァシリーチェア)のこと。スイス系フランス人とはもちろんル・コルビュジエとその従弟ピエール・ジャンヌレ、弟子シャルロット・ペリアンの3人。偽物とは後にカッシーナ社によってリプロダクトされたLCシリーズのこと。実際の制作はペリアンが担当し、このときLC1、LC2、LC3、LC4、LC7が発表された。