赤星という苗字

赤星という名字、赤いのは血液の色。

時に肥後國菊池左京大夫隆泰、大將の號を給はつて、錦の御旗を下され、博多へ發向し、箱崎の松原にて蒙古と合戰す。菊池大に利を得、隆泰が三男三郎有隆、鎌形といふ所にて、異賊の大將鬼盤藏を討取りぬ。時に菊池が指す所の錦の御旗に、血多く付きけり。其體赤き星に異ならず。軍散じて後、彼の御旗を叡覽あり。菊池に赤星と總名を下し給はる。是よりして三郎有隆、赤星と名字を替へけり。
『九州治乱記』