董卓の経済政策2

調整インフレは、人工インフレ、人為インフレとも呼ばれる。もし董卓貨幣経済の破壊を企図していたのであれば「調整」の名はふさわしくない。人工インフレと呼んだ方がいいかも知れない。

インフレが起こって困るのは多くの貨幣を抱え込んでいる人だ。貨幣ではなく食糧を現物で持ってる人はインフレになってもあまり困らない。むしろ食糧の売値が高まって利益を得る場合もある。董卓は果たしてどちらの側にいたのだろうか。

おそらくインフレを厭わない側だろう。董卓長安郊外の砦に三十年分の食糧を貯め込んでいた。そのほか、董卓が死んだとき、その砦を検分したところ黄金2〜3万斤、銀8〜9万斤、真珠、宝石、錦織物などが山と積まれていたという。しかし銅銭の記録はない。無実の罪をでっち上げて富豪から財産を巻き上げていたというから、それなりの銅銭の貯蓄はあったはずだが、そのウェイトは食糧や黄金の豊富さに比べて軽かったのだろうか。