王異

ほんとのこと言うと、王異がめちゃくちゃ嫌いだ。こいつうさんくせー。

この人、一応「貞女」という扱いになってるんだろうけど、どうも見た感じ、王異自身が「貞女」を演じているフシが見られる。というか、自分をそう見せようとしているのがありありと見え過ぎちゃって、あまりの生々しさに目を背けたくなる。うわー、ってなっちゃう。

梁双の乱のとき、辱めを受けることを恐れて自刃しようとしたが、娘の趙英の身を案じて思い止まったという。なんじゃこりゃ。忠義のためなら息子趙月でも見殺しにしたんじゃないのか?なぜ趙月を見殺しにして趙英には気をかけたのか。趙月のときは主君の仇討ちでもあり国家のためでもあり、趙英のときは我が身の問題に過ぎないからなのか。だったら最初から「自刃」とか関係ねーじゃん。ダメじゃん。単なるパフォーマンスじゃん。

趙昂からお迎えの使者がきて、明日には到着というところで服毒自殺したそうなんだけど、なんで到着直前に毒を飲んだんだ?車に載る前に飲んだら見つかって蘇生されてしまうから仕方ないけど、車に載った直後に飲んだらもっと確実だったんじゃないの?「男の目に触れたくない」とか言ってるけど、結局、すぐ使者に見つかってるじゃん。使者に見つからないよう車内で静かに死んでればいいのに、どんだけ派手にぶっ倒れたんだっての。第一、そんなに死にたかったら意識が回復したあとでも刀抜いて自刎すりゃいいんだよ。なんで自刃しなかったんだ?そもそも自分で刀持ってるくらいなら最初からそれ使って自害すればいいのに、なんでわざわざ服毒を選んだのさ。解毒されちゃうじゃん?

馬超が冀城を包囲したとき、王異は弓籠手を装備したそうで。人前に出る気まんまんじゃん。さっき「男の目に触れたくない」って言ったの全然ウソじゃん。ダメじゃん。単なるパフォーマンスじゃん。

刺史の韋康が馬超と和睦しようとしたとき、王異が「主君の命令に背いてでも馬超と戦え」と趙昂に言ってるのもヘンだ。どうせ死ぬ覚悟があるんなら、蜀の王累みたいに主君の目の前で腹かっさばいて和睦に反対せよと勧めた方がよかったんじゃないか?死ぬ気で戦うのが忠義なら、韋康の和睦を止めないのは主君の不忠を知りつつ見逃すということにならないか?結局、王異のいう「忠義」って、趙昂や王異自身を「忠臣」「貞女」に見せかけるという意味でしかないんだよ。国家のため主君のためなんてのは本気で考えてない。

馬超の妻楊氏が王異の評判を聞いていたそうだけど、王異さん、目立ちすぎですよ!敵国にまで知れ渡るなんて、どんな派手なことやらかしてたんだよ、と。せめて隠そうとしようよ。

趙昂が「馬超を討伐したいが、趙月が人質になってるのはどうしよう」と言ったとき、「子供の一人くらい屁でもないわっ」なんて言ってたりする。愛情が薄いとかどうとか言うより、それ以前に、“お国のためなら息子の死をも厭わない気丈な母”を自己演出してるのが臭すぎ。吉川英治の玄徳の母なみに臭い。徐庶の母とか。そなこと言うならまず自分が馬超の人質になれ、とか思っちゃったよ。

オレさまはー貞女さー、人様からそう見られるためなら子供も殺すー、でも自分が死ぬのはまっぴらごめんさー。そんな王異さんなのでした。あー、キモかった。

http://mujin.parfait.ne.jp/mujins/sanguo/fem.html#Ou-I1