マーフィーの法則(ニセモノ)

一昔前に話題になった『マーフィーの法則』でも読んでみようと、私の知り合いが、中身を確かめずに買ったのが『マーフィー「運」と「お金」と「言葉」の法則』。
トンデモでした。
内容はこんな感じ。

財布の中に「五千円しかない」と思うのと、「五千円もある」と思うのでは、自ずと心的態度も違ってきます。

よくコップの水の喩えで、これと同じことを言ってる人がいるので、(試しにそいつをぶんなぐってみて「まだ骨折してないから平気だ」と言うかどうか確かめてみたいという衝動は押さえつつ)ここまではまあ許すとしましょう。たしかに気の持ちようで気持ちは変わります(同語反復に過ぎませんが)。しかし…、

 フリーライターのTさんが実際に体験した話です。Tさんは、あるとき、三十万円ほどのお金を用立てなくてはならなくなりました。愛用していたパソコンが壊れてしまったため、新しいモノに買い換える必要に迫られたからです。しかし、ちょうどその直前にアパートからマンションへ引っ越したばかりなので、経済的に余裕がありませんでした。
 そこで、Tさんは何ともユニークな行動に出ました。以前、私はある本の中で、「自分の願望をストーリー化して、文章として紙に書いてみると、それ自体が想念となって潜在意識にインプットされるため、願望がかないやすくなる」ということを書いたのですが、彼も実際にそれを行ってみたのです。本の売れ行きが好調で、増刷が決定し、印税が三十万円ほど入ったおかげで、新しいパソコンが購入できるというハッピーエンドのストーリーを書いたのです。すると、一カ月も経たないうちに、ストーリーと似たような現象が起こりました。なんと、以前、彼が手がけた本の文庫化が決定し、その印税が入り、新しいパソコン購入資金が捻出できたのです。
 ちょっとできすぎた話のように思えるかもしれませんが、これは本当の話です。

これはいただけない。気違いじみた考えですよ。「印税よ、入れ」と願望したら印税が入った、だから願望すればかなうんだという主張が正しければ、増えよと願うだけで財布の中の五千円が一万円に変わったり、増えよと願うだけでコップの水が満杯になったりするはずです。それに3億円の宝くじに当たれと願えば3億円が当たったり、背よ高くなれと願えば身長7メートルになったり、マーフィーくたばれと願えばマーフィー博士がくたばったりするはずです。あり得ません。こんなこと本気で信じてたら、そいつぁ単なるバカです。気違いです。オカルトです。

そもそもこの本はたびたびジョセフ・マーフィー博士の言葉とやらを引用するのですが、はたしてそのマーフィー博士ってのが何者なのか、この本の中では本当に一切全く説明がありません。

こんなオカルト本ばかりを盛んに執筆なさっているのは植西聰さんです。植西さんのお名前でGoogle検索すると、植西さんのご著作を紹介するオンライン書店のサイトか、なぜか植西さんを絶賛する読者のサイトばかりにヒットします。批判してる人少ないなー。

著者経歴はこんな感じ。

植西 聰(うえにし・あきら)
東京都出身。人生&心理カウンセラー。学習院大学卒業後、資生堂に勤務。1982年独立し、ウィーグル研究所を設立、主に「成功哲学」を中心とした研究・出版を行う。その後、「産業カウンセラー(労働大臣認定)」の資格、僧位「知客職」を取得、米国イオンド大学より「心理学博士」の名誉称号も授与される。現在は、著書や雑誌を通じて多くの人々に喜びと元気を与えている。(以下略)

怪しすぎです……。そんなに願い事がかなうってんならイオンド大学みたいなディプロマミルの学位じゃなくて東大か学習院で博士号取ればよかったのにね!

【自己啓発セミナーに関する情報】ジョセフ・マーフィーの真実
【wikipedia】ニューソート
【wikipedia】生長の家
【健康本の世界】ハワイ・イオンド大学