アインシュタインの予言2

先日、アインシュタインの予言と称されるものが、全く別人の田中智学によるものであったという中澤英雄さんの論考をご紹介しました。ところが、さきほど別件で検索していたら、アインシュタインの予言は本物であり、中澤英雄さんは嘘を吐いていると主張している方がいらっしゃいました。
しかし、その記事は半年前に書かれたもので、現在ではすでにブログごとサーバ上から消えてしまっています。テキストだけが残っていますが、肝心の証拠写真らしきものが見られません。しかし、どうもねえ…。口調ばかりは思わせぶりですが、残されたテキストを見るかぎりアインシュタインの予言が本物であるという証明ができていません。これは期待薄です。なにやら隠し球があるようですが、隠したままでは証明したことにはなりませんね。「匂わせ」だけで証拠を提示しない、典型的なデマ記事です。

こちらに同じ日付、同じ内容、同じ筆名で、同じ題名のブログがあります。まあ、同一人物でしょう。こちらでも証拠写真らしきものは見られません。で、そのブログに掲載されたこの記事が件の隠し球ということのようです。

しかし、どうでしょう。船井幸雄さんの引用するアインシュタインの予言を孫引きしてらっしゃいますが、その船井さんがどこから引用したのか書かれてないので、これは証拠になりません。また自民党古川禎久さんの発言を引用してらっしゃいますが、これがなんと平成17年の発言!こんなものが証拠になるわけがないです。困ったことに、アインシュタインの発言とされるものの引用はこの2点のみ。隠し球はどこですか?

このブログの筆者は明言していませんが、どうもポール・リシャールという人の書いた文章がアインシュタインの予言によく似ているのは、田中智学ではなくリシャールこそが予言の主だからだというご意見かもしれません。しかし彼の引用するリシャールの言葉、それにオットー・カロン博士の言葉、どちらもあの予言に似ていない。カロンにいたっては明らかに終戦後の言葉です。天皇を戴く日本こそ世界の盟主たれという内容でさえありません。そもそもリシャールが予言の主だとしたら、それこそアインシュタインの予言ではありえなくなります。

アインシュタインの予言が雑誌『改造』に掲載されたとされるのが大正十一年、中澤英雄さんが予言の初出と考える田中智学『日本とは如何なる国ぞ』が発行されたのは昭和三年なのですから、もっとも簡単な証明は、大正十一年当時(または昭和三年以前)のアインシュタインの予言を載せる『改造』を提示することです。「改造もその他の文書も持って」いるなら、なぜそれを出さないのでしょうか?現物を持っていても隠したままでは証拠になりません。京都に置いてあるから出せないというのであれば、そんな記事はそもそも書くべきじゃない(緊急性があるなら話は別だが、もちろんそんなものはない)。「匂わせ」だけで証拠を提示しないのであれば、たとい彼の考えが正しいとしても、それは第三者には分からないのですから、こんなのはデマ記事に過ぎません。

それにしても、

ついでにドイツ語だったら・・・オットー・カロン博士のこの文章も
(略)
さあ、ガセだと証明してもらいましょうか

告日本國( ポール,リシャール著、大川周明訳)より
(略)
さあ!ガセネタ認定してくれよ!!

なぜアインシュタインの予言とは全く関係ない文書を引用して、中澤英雄さんに「ガセだと証明」させる必要があるんでしょうか?実のところ、私はこの人の正気を疑ってます。ごめんね。