歴史修正主義は論点を攪乱する

さきのエントリで、歴史修正主義は意見が正しいかどうかのレベルではなく、議論の場、ルールそのものを破壊することを目的としていることこそが問題なのに、それがこの問題に関心の薄い人にはなかなか伝わらないと書いたんだけど、これがまたえらい反響をもらっちゃいまして、なんでこんなにウケてるの?書いた当人にはまったく分からないという(笑)。

相撲にたとえると、強いとか弱いとかいう以前に、そもそも土俵に上がってすらいない。…ということは、歴史修正主義者の「主張」をある程度の関心をもって見ている人にとっては常識に属することなんだけど、さほど関心をもってない人にはそれが分からない。…ということを、clawさんのエントリに付けられたブクマ※を見て、ため息をつき、読者の同意を求めてるだけの内容のうすっぺらなエントリなんだけど。

さきのエントリに反応してる人は、それぞれ着目してる点が違っていて、にもかかわらず、互いがその違いを意識してないのが混乱の元になってると思うんですね。そして、実は、そういう混乱を振りまくことが南京厨の活動目的の一つだったりする(笑)。

a.南京事件に対する事実認識
b.過去を語るものの政治性
c.歴史修正主義者の欺瞞的論法
d.歴史修正主義者の欺瞞に対する社会の免疫のなさ

この辺がみんなごちゃまぜになってる。自分がなにを問題にしているかさえ自覚していないし、他人がなにを問題にしているかも意識していないので、そりゃ混乱して当たり前の話。

わたしがさきのエントリで取りあげたのは、論点d。それは、clawさんのエントリに付けられたブクマ※が論点cに関してあまりに無頓着だったので、それに対する反応なんですね。わたしのエントリに対して肯定的なブクマ※を付けてる人は、わたしがなにを問題にしているかを承知しているので、「これは新たな発見だ!」というのではなく「あいかわらずやっぱりそうなんだよねえ…」という感覚で追認してる。既知の問題なのだ。

fromdusktildawnさんも論点を切りわけられなかった一人で、わたしやはしげたさんが論点aについて語っていると誤認しているため「詰めが甘い」ように見えている。同日のエントリで論点が違ってますよと指摘したんだけど、どうもまだお気付きでない様子。そのあげく「印象操作だ」なんて言いはじめちゃった。はしげたさんは「否定論者が間違ってるから南京事件はあった」なんて最初から一言も言っとりゃしません。ご自身が論点を把握していないのが原因なのに、はしげたさんが論点そらしをやってるように考えてるわけですね。いや、もともとの論点はこっちだから(笑)。

でも、こういう論点の不理解は、fromdusktildawnさんだけに責任を負わせることはできない。というのも、こうして論点を攪乱すること自体が、歴史修正主義の主な活動の一つなんだから。

で、そのことを知らない人たちは、まんまと歴史修正主義者のトリックに引っかかってしまい、それを見て、わたしがまたため息を吐くわけだ。キャズムだなー、と。そんなこっちゃで、キャズムをどう埋めていくか(d)が南京事件にかかわる主要な論点なのですね。