純粋な科学者であることの限界

【徹夜城の多趣味の城】ニュースな史点・2008/8/27
 ヒントンさんの来日は今回が最初。以前から訪問したいとは思っていたというが、今回の訪日は『神の火を制御せよ』の出版社の招きで実現したもの。広島を訪問し、原爆の破壊力を今日に伝える原爆ドームを見たヒントンさんは「自分がつくったものがどんな結果をもたらすか。それを考えず、純粋な科学者であったことに罪を感じている」と取材に答えている(毎日新聞記事より)。その後長崎も訪問したヒントンさんは、自らの精製したプルトニウムを使った原爆「ファットマン」の模型を無言で見詰め、被害者の惨状を写した写真を見て「なんとひどい」と何度もつぶやいた。ここで改めて「私は研究成果だけを求める純粋な科学者だったことを恥じる。若い科学者には、自分の行為が招く結果を考えて行動してほしい」(西日本新聞記事より)と静かに語ったという。

現場は目的の是非を判断できない。