ミサイルの可能性は反証されていない

さきのエントリで紹介した松浦さんのコラムで「今回の打ち上げは「衛星の打ち上げ」である」というのは、端的にいってエビデンス不足なのに、ブコメ等で「なーんだ、やっぱ衛星なんだ」と言ってる状況はあまりよろしくない。


真東に向けて発射したからといってそれはミサイル発射の可能性を反証するものではないし、その可能性を少なく見積もる理由もない。衛星の打ち上げとみることに矛盾がないというだけで、ミサイル発射の可能性が消えたわけでもない。

また、「衛星打ち上げの技術は即ミサイル技術でもある」というのも単純化しすぎている。共通の技術を土台にしているのはもちろんだが、まったく同一でもない。ロケット(ミサイル)は重量が大きくなるほど打ち上げが困難になるが、北朝鮮の技術では核弾頭はもちろんのこと通常弾頭を搭載することも難しい。しかし人工衛星は非常に軽量であるので弾頭に比べれば打ち上げは容易になる。さらにミサイルの場合は大気圏に再突入させる技術が必要になる。衛星の打ち上げはその考慮を必要としない。だから「衛星打ち上げの技術は即ミサイル技術でもある」というのは非常に誤解を招く言い方だ。

ブコメをざっと見たところ指摘する人がいないようだったので、念のため書いておく。

松浦さんがそのことに気付いていないはずはないので、おそらく舌足らずになっているだけだと思うが、いままで北朝鮮に対してさんざん疑いの目を向けていた人がこのコラムを読んだだけで一転して安堵しきっているのはまったく解せない。なにに対して納得しているのか…。