映画『南京!南京!』

劉燁さんの演じる主役の姓は「陸」で、監督の陸川さんと同じ。中泉英雄さんの演じる日本兵の姓は「角川」で、これは「陸川」と同じ発音。つまり殺す側と殺される側の両方に陸川監督自身が確信的に投影されている。


ちょっとできすぎた話だけど、興味深いエピソード。

【Yahoo!ニュース】日本人俳優が号泣、『南京!南京!』の試写会で

陸川監督の映画『南京!南京!』の試写会が17日に浙江省杭州大会堂で行われ、会場は杭州の観客たちの熱気で包まれた。ある観客が日本人俳優の中泉英雄さんに、この映画に出演した気持ちをたずねた時だった。会場からは「打倒帝国主義」や日本語で「バカ」と罵る声が上がった。

 中泉さんは少し気まずそうな表情を浮かべて黙りこみ、会場の雰囲気が重くなった瞬間、「日本人の俳優に対してこんなふうなのはよくない」や「彼らは尊敬すべき人だ」、「彼らは勇敢です」と観客が叫び、熱烈な拍手が送られた。そして拍手が鳴り響く中で、「ありがとう日本の友人」と日本語で叫ぶ若い観客までいた。

 拍手の音は止まらなかった。『南京!南京!』の出演者たちは感動し、中泉さんも通訳の人から中国の観客が言った言葉を聞いて涙を流した。

 休憩室に戻った中泉さんが突然激しく泣き出したため、映画館の責任者が嫌な思いをさせたと謝ると、「違います。私は中国や中国の人たちがすばらしいと思ったのです。侵略も戦争もしてはいけない。永遠にしてはいけないのです」と中泉さんは言ったという。

ニュース記事のコメント欄との対比がなかなかほほえましい趣き。



この映画を紹介する別のブログ記事。

【北京メディアウオッチ】話題の映画 「南京!南京!」 を見た!
日本人俳優・中泉英雄さん演じる日本兵・角川が、戦争によって非道な “鬼畜” と化していくが、ラストでは罪悪感から中国人捕虜を逃して自殺する。 生身の人間としての葛藤や情が描かれたものだ。 そして、じつは全編を通して登場するのが角川であり、じっくりと丁寧に描かれるのが角川の心の動きなのである。

そういう意味で、この映画の実際の主役は、「山の郵便配達」 の劉燁 (リュウ・イエ) でもなければ、「スパイシーラブスープ」 の高圓圓 (カオ・ユアンユアン) でもない。

「南京をテーマにした中国映画で、日本人の視点から撮られた映画は初めて!」 と一緒に鑑賞した中国の友人も驚いていたが、「南京!南京!」 は日本人を主役にした初めての南京映画だ、と言い切ってもよいだろう。


【人民網日本語版】映画・「南京!南京!」

陸川監督へのインタビューなど、くわしく紹介されているページ。