中学生さくら 医療のIT化を聞く

なんか保険や医療に関する話題は食いつきがいいみたい? ていうか、自分で書かずに他人の著作物パクったほうが効率的に注目を集められる? みたいな。


ちなみに、ぺけ先生は「医師で、医療関係の大学教授」「2001年にWEB利用の医療情報提供システム構築に携わった先駆者」なのだとか。

【@さくらじお】vol25:2009/03/17 2部


さくら「では、デジタルドクターのぺけ先生にSkypeをしてみましょうか。」


ゼシカ「おー。図々しいですけど、やってみましょうか。」


さくら「はい。」


ゼシカ「じゃあ、さくらちゃんお願いしますね。」


さくら「じゃ、いきますね。ぽちっと。」


ぺけ「はいはい。」


さくら「えーと、こんばんは。さくらです。」


ぺけ「はい、こんばんはー。あ、さくらさん、おひさしぶりー。元気ですかー。」


さくら「はい、元気してましたよー。」


ぺけ「よかった、よかった。今日、どうしたんですか。」


さくら「ええ、なんか、ちょっと聞きたいことがあったんで、いいですか。」


ぺけ「はい、分かりました。なんでしょう。」


ゼシカゼシカです。初めまして、突然――。」


ぺけ「ぺけです。初めまして。」


ゼシカ「さくらの友だちなんですけれども、実はですね、いま収録をしておりまして。ポッドキャストをやってるのは、さくらがやってるのはご存じですよね。」


ぺけ「はい、聞いてますが。」


ゼシカ「それで、いま収録中なんですよ。」


ぺけ「はい。」


さくら「で、あの、ちょっと質問が……。」


ゼシカ「あって、図々しくSkypeさせていただいたんですけども、いまお時間大丈夫でしょうか。」


ぺけ「大丈夫ですよ。」


ゼシカ「お、やったー。」


さくら「で、電子カルテとかについてなんですけど……。」


ぺけ「また難しい話を。」


さくら「いきなりですけど、病院間の連携*1っていうのは難しいんですかね。そういった取り組みってまだ"試み"ではないんですか。」


ぺけ「うん。たとえばこないだ銀行間で連携しようとしたときにトラブルになったっていうの、あったでしょ。」


さくら「あ、ありましたね。」


ぺけ「覚えてます?」


さくら「はい。」


ぺけ「銀行っていったらお金と名前ぐらいのやりとりだけですよね。それでもあれだけトラブルが起こるんですよね。ところが病院っていったら患者さんの名前もあれば住所もあって、いろんな情報があるわけですよ。それをお互いにやりとりするっていうの、ものすごく大変なことなんですよね。」


さくら「んー。じゃ、かなり難しいんですかね。」


ぺけ「そう。ものすごく難しいんですよね。とくに病院ごとでおんなじものを一緒に作って、最初から連携するよって作ったところは、うまくいってるんです。たとえば千葉県の東金病院っていうところは自分のところの分院みたいなところがあって、そこと最初っから連携してやりましょうねってやってる病院があるんですけどね。そういうところは非常にうまく活用できてるんですよ。」


さくら「はー、そうなんですね。」


ぺけ「ところが、A病院っていうところが電子カルテ作りました、B病院っていうところがまた別の電子カルテ――別のメーカーの電子カルテ作りました。…あの、こないだも言ってましたよね。富士通さんがあってNECさんがあって――という話ね。で、そしたらその間の連携っていうの、ものすごく難しいんですよ。」


さくら「はぁ、やっぱり。」


ぺけ「で、もう下手したら1つのシステムをもういっぺん作るぐらいのことやらないと連携ってできないんですよね。」


ゼシカ「じゃ、あらかじめそういうことは考えられて作られては、ないと思ったほうがいいんですね。」


ぺけ「もう全然考えられてないです。少なくともいま作られてるのは。」


さくら「はー。じゃ、これから作るならそこら辺もやっぱり考えていかなきゃいけないですね。」


ぺけ「そうですねえ。だからそれを連携させましょって言って、このカルテもくっつきますよ、このカルテもくっつきますよ、って言って提案しているシステムもあるんですね。たとえば香川大学なんかが中心にやってるシステムっていうのは、あなたんとこ電子カルテやってたら――こういう形でデータ渡してくれたら、他のことも渡せますよ、と。やってるところはあるんです。」


さくら「あるんですね。」


ぺけ「だから、やってるところはうまくやってて、非常にうまくできてるところもあります。だから試みは――という意味では結構されてるんですよ。」


ゼシカ「でも全体で、こう標準化するっていうか、そういうことをっていうのは、まだまだ。」


ぺけ「そうそう。まだですね。」


ゼシカ「もしそれを指揮をとるとしたら、どこが指揮をとるべきなんでしょうか。」


ぺけ「ねえ。だからうまくいってるところは行政と、医師会と、それと病院が一体化になって一緒にやりましょうってやってるところは、うまくいってます。でも、たとえばウチの病院だけがやりますよってやると、その病院とあんまり仲のよくないところは、なんで協力しないといけないの――なりますでしょ。で、これ標準ですよって国がとくに決めてるわけでもないので……。」


ゼシカ「じゃ、音頭取りはやっぱり国のしたほうが、みんな従いやすいってところですかね。」


ぺけ「そこが一番、逆に一番難しいところかもしれない。」


さくら「難しいんですね。では、質問2つめ。」


ぺけ「はいはい。」


さくら「病院情報システムの導入の費用についてなんですけど、わたしの調べでは1床あたりが100万円で、この1床をゼシカさんはワンフロアじゃないのかなーって言ってたんですけど、ネットとか辞書で意味調べたんですけど、なんか面積単位とか分かんなくて……。」


ぺけ「あー、はいはい。そうなんだよねー。これ、もう医療やってる人ならたぶんそんなに難しい言葉ではないんだけれども、"床"って書いて病床。病気の"病"に"床"、病床なんですね。で、これ何かって言ったら、ベッドなんですよ。」


さくら「あ、1つのトコ。」


ぺけ「そう。トコです。」


ゼシカ「あ、トコって読めばよかったんだ。あー、前回ウソつきましたー。すいません、リスナーのみなさまー、みたいな。」


さくら「フロアじゃないのね。」


ぺけ「そう。フロアじゃなくて、ベッドです。」


さくら「あー。えっ、すっごいかかる。」


ゼシカ「そうですよねー。それも、だから考えたんですよ。1ベッドかなってちょっとは思ったんですけど、そうなると1ベッドって普通の大きい病院を想像するとすごいお金かかるじゃないですか。」


ぺけ「そうですねえ。で、100万円っていうのはね、ぼくらからすると安いです。」


さくら「えっ。これでも安いんですか。」


ぺけ「安いです。ぼくのむかし経験したところでは1床あたり300万。」


さくら「3倍。」


ぺけ「だから200万から300万っていっときよく言われてたんですよね。で、いまだいぶ、ちょっとづつ下がってきてて、まあ100万円がいま一番安いところぐらいかな、というイメージですね。」


ゼシカ「それはやっぱりソフトとか、そういう機材とかっていうのが普及してきて、ちょっとコストが下がってきた――売る側の――っていうことなんでしょうか。」


ぺけ「というよりは、むかしはまだまだシステムができてなかったから、1つの病院で電子カルテ入れるっていったら、そこで開発してたんですよね。たとえばある病院に1つコンピュータルームができて、そこにずっとお医者さんが、もう2〜3人ずっと張りつきで、ずっとプログラムを作ってるみたいな。そういうような状態だったんですよ。」


ゼシカ「それは高く付きますねえ。」


ぺけ「そうそうそうそう。いま、そうじゃなくて1床100万円とかいうのは、まあ出来合いのものをシステムとして納入しましょうとなってきたので、まあ少し安くなってきたということですね。だから入院がない病院であれば、もっと安いのもあったりして――。個人のお医者さんがね、"自分の診療所で使いたいカルテ"みたいな形でこつこつずっと作ってたのを、みなさんどうぞ使ってください、とかでやってるのがあったりして、そういうんだと、それこそ導入にソフト代15万円、年間5万円みたいなね。」


ゼシカ「あ、それは安い。」


ぺけ「そういうような診療所――入院がないところがね――だと、そういうようなものもあったりする。」


さくら「そうなんですね。では、質問3つめ。最近の病院経営っていうのは難しいって聞いてるんですけど、かなり費用がかかるようなんですけどね、電子カルテ導入によって倒産するような危険っていうか、危機はないんですかね。」


ゼシカ「そうね。お金かかるの分かりましたもんね。」


ぺけ「だから、倒産しそうな病院とか、お金がもったいないっていう病院は、電子カルテ入れないです。」


さくら「えっ、国からの補助とかもないんですか。」


ぺけ「補助はないです。」


さくら「あー、ないんですね。」


ぺけ「で、いま電子カルテを入れることによって――。病院のお金ってどこから入るって分かります? どこで稼いでるか。患者さんから窓口へ払いますよね。さくらさんなんか病院に行ってもね。そのお金――でもそれって全額じゃないですよね。」


さくら「えっと、保険会社とか。」


ぺけ「そうそうそう。保険組合ですよね。保険でたとえば3割負担って言ってますよね。で、残りが保険組合からお金がくるんですよね。たとえば病院にかかったときに。じゃあ、電子カルテを入れた病院と、入れてない病院とで、そこに差があるかどうか。ほとんどこれ差がなくて、1回診療するたび――1回というか、1回の患者さん。まあ1入院のあたりで30円。」


さくら「30円。そんな……。」


ぺけ「で、それも電子レセコン――レセプトコンピュータね、診療報酬を計算するコンピュータが入ってたりしてれば電子カルテ入れなくてもいいよ、というような――の中でも1項目に電子カルテって言葉があるだけで、だから電子カルテを入れることによっての儲けをつながることっていうのは基本的にないんですよ。だから国のほうは入れなさい入れなさいって言ってるけれども、入れてない病院はいっぱいあります。だから紙のカルテでやってる病院っていうのはたくさんまだまだいっぱいあるんですよね。」


さくら「じゃあ、国っていうのはレセコン導入により医療費の削減されることを狙ってるって言われてますよね。わたしの知識は新聞やネット情報なので確かな統計情報じゃないんですけど、地方の個人病院や診療所は今でさえ経営が苦しいと聞いてますし、やはりこういう地方の病院では患者に対して必要以上に薬出すとかで利益をあげてるっていうの聞いてるんですけど……。」


ゼシカ「うん。そんなイメージがありますね。うん。」


さくら「全般的な病院の経営状態や、不要な処方についての現状を知ってたら、ちょっと教えてください。」


ぺけ「はいはいはい。まあ、まず経営が本当に苦しいっていうのは、いま本当にね、いまいろんなところで言われてるとおり、そのとおりなんだけれども……。なぜ、まず経営が苦しいかっていったら、さっきちょっと診療報酬の話をしましたけども、ある病気である治療をして患者さんに薬を出したり、こんな治療、検査をして――ってやりますよね。これは全部、『診療報酬』っていうでっかい電話帳みたいな中に、なにをやったらいくらですよって全部決まってるんですよ。だから基本的には同じクラスの病院で、あるA病院にかかって同じ薬を出してもらっても、B病院にかかっても、まるっきり同じ金額のはずなんですね。これはもう全国一律なんですよ。だから、じゃあたくさん患者さんからお金をもらおうとするとどうするかっていうと、たくさん薬を出すとかたくさん検査をするとかしないともらえないですよね。だけども、じゃあそれがチェック全然されてないかっていったら――。これだけの患者さんにこういう病気でこれだけの薬出しましたよっていうのを保険組合に請求するわけですよね。そしたら保険組合、それチェックするんですよ。いまでもちゃーんとかなりうるさくチェックされてるので、よっぽどたくさんの薬出してたり検査したりすると、削られるんですね。出しすぎだよっていって。」


ゼシカ「あー、そうなんですか。」


ぺけ「そうそうそうそうそう。だからね、そんなに――。ちょっと確かにむかしはかなりそれが甘かったところもあって、たくさん検査をしたりとかたくさん薬出したっていうの結構あったんだけれども、最近はそれ非常に難しくなっています。」


さくら「じゃあ、レセコン導入っていうのは医療費削減にはつながらないってことですか、あんまり。」


ぺけ「うん。ぼくはあんまりつながらないと思ってますね。もしも本当にね、国のほうがレセコン導入で削減する気があれば、チェックプログラムを配ればいいんですよ。国がね。」


ゼシカ「あー、なるほどー。うんうんうん。」


ぺけ「でもね、国がね、そのチェックプログラムを配らないんですよ。保険組合の仕事がなくなるからじゃないんかな、とね。ぼくらが言ってるんだけれども。で、さらにもう1つ言うと、薬っていうのは、むかしは病院で全部出してましたよね。でもいまは処方箋だけもらって薬屋さんで買うじゃないですか。だから薬は出さないから、あんまりたくさん薬出しても病院は儲けないですよね。」


さくら「あっ、そっか。」


ゼシカ「じゃあ、結構こういう噂っぽいのってウソだっていうことですね。」


ぺけ「そう。いや、というか、レセコン入れたり――レセコン自体、もういま国の70%ぐらいはもう――90%ぐらいはもうレセコン入ってますからね。」


ゼシカ「あ、もうそんなにですか。」


ぺけ「レセコンは入ってます。でも計算だけだから、もうほとんどのところにはレセコン入ってるから――。だけども、レセコンとか電子カルテ入れることによって、たとえば無駄なことが減るからって言い方をしてるけれども、あれはかなり疑問ありますね。いまでも、そんなにね、無駄をやってるわけではないので。」


さくら「うーん。難しいですね、なんか。」


ゼシカ「じゃあ、あと残りの10%普及しないのは、なぜでしょうか。」


ぺけ「それほどたくさんの――。だからレセコンやっぱりお金かかるわけですよ。まあやっぱり100万とか200万とかね。小さなところでも。で、いま日本医師会が無料の電子レセコンのプログラムを作ってますけども、やっぱり機械は買わないといけないし、そしてやっぱり入力――キーボードから入力もしないといけないじゃないですか。でも、いままでコンピュータなんか使ってなくてソロバンとノートと紙でやってる人たちが、じゃあそれを急に入れるか。それもね、たとえばおじいちゃんとか――医者っていうのはね、開業してたら定年がないので――ときどき80歳のおじいちゃんが病院やってますよとか、90歳がやってますよとか、新聞とかでもあるじゃないですか。」


さくら「はい、ありますねえ。」


ぺけ「ありますよね。で、その人たちが半分私語みたいに1日10人ぐらいの患者さんとお話しして――というお話ありますよね。」


さくら「ありますねえ。」


ぺけ「そういうところが、じゃあ電子レセコンにしなさいよって言って、やると思いますか。」


さくら「うーん。ちょっと無理がありますよね。」


ぺけ「でしょう。」


さくら「もしかしたら、そこら辺のおじいちゃんおばあちゃん先生だったら、パソコンすら持ってないかもしれないし。」


ぺけ「そうそうそうそうそうそう。だって、それで必要ないんですもん。」


さくら「ソロバンあればいい、みたいな。」


ぺけ「そうそうそうそう。だってノートで出せばね。実際には田舎に行くと結構そういう病院っていうのはたくさんあって、いま国のほうが2011年から必ず電子状態で出しなさいよっていうことを強制しようとしてるんですよね。で、そうすると、そんなことするくらいだったら、もう医者辞めるよって言ってるお医者さんがいるぐらい。」


ゼシカ「あー、そうなんだ。そうなると今度は過疎地域っていうか――困りますよね。」


ぺけ「そうそうそう。いままでね、ちっさな田舎で細々とやってたお医者さんが、もう辞めるって言いだしてて、けっこう問題になってんですよね。」


さくら「じゃあ、なんかあんまり意味のないような。」


ゼシカ「全部っていうのはちょっと考えないといけないのかもしれませんね。」


ぺけ「そうそうそうそう。確かにね、電子化することをうまくやることによって、非常にうまくいってる例もあるんですよ。たとえば韓国なんていうのはすごくうまくいってるんですよね、それね。」


ゼシカ「あ、どんな風にですか。」


ぺけ「韓国は、日本の保険の診療をモデルにして、それをいいとこだけとって、で、電子レセコンをもう電子的に――請求なんかも全部電子的にやりましょうっていって、非常に標準的なものを作っちゃったんですよね。そうすると、もう本当に、出すチェックなんかもプログラムなんかも出てるから――自分ところでも、もうね――引っかからないようにチェックもするし、出すのも簡単だし――っていうことになってるんですよ。すごくその辺りは、確かにレセプトをチェックする会社のコストが下がってるので、全体的な医療費のコストは下がってます。」


ゼシカ「へえ。すごいですね、韓国とか。」


ぺけ「そう。ところが、なにが日本と韓国が違うのかといったら、さきほど診療報酬の本が非常に分厚いのがあるって言いますよね、電話帳みたいなのが。あれが韓国は薄いんですよ。非常にシンプルなんです。」


ゼシカ「あー、細かく分かれてない。」


ぺけ「細かく分かれてない。薬をたとえば1錠出したらいくらですよ。で、これを2錠出したらそれは倍になるんじゃなくて、たとえばそれが1.5倍ですよとか。それがまた地方によって微妙に違ってたりとか。この条件とこの条件とこの条件のときにはこれは請求できるけれども、この条件とこの条件のときはダメですよとかっていうのが――その例外とか、そういうのものすごく複雑なんですよね。日本の場合は。」


ゼシカ「えっ、なんで日本はそんな風になったんですか。」


ぺけ「これはもしかしたら日本医師会も悪いのかもしれないけれど、まあ、こうこうこういう風にやったらいいよね、とかいうのが、どんどんどんどん希望がいろいろ盛りこまれて、それに付けくわえて付けくわえてって言って、やってたので、ものすごく複雑になってるんですよ。」


ゼシカ「ちょっと法律みたいですね。」


ぺけ「まさに法律ですもんね。」


ゼシカ「はーあ、なるほどー。」


ぺけ「で、そこが非常に複雑なので電子化するのも面倒くさいし、シンプルになってないし、という。」


さくら「そうなんですねえ。じゃあ、本日最後の質問で、今週の目玉なんですけど、もう1つ、ちょっといいでしょうか。」


ぺけ「はい、いいですよ。」


さくら「たぶんリスナーさんは気になる話題だと思うんですけど、ウェブ上にある電子カルテ化についてなんですけど、アメリカでは1年以上前からヘルス2.0などと呼ばれるPHRっていう――パーソナルヘルスレコードっていう個人向けの健康医療情報提供サービスが進んでますよね。」


ゼシカ「あー。グーグルヘルスとかっていうやつ。」


さくら「あ、そうそう。まあ有名なのがそれですね、グーグルヘルス。ほかにもAOLのレボリューションヘルスとか、マイクロソフトのヘルスボールトだっけ……とか。中でもIBMの仮想世界のセカンドライフだっけ……セカンドライフ――の中にバーチャルな病院があって、病院内の診療データとか薬局での薬剤データとかも検査機関でのCTとかMRIとかの検査データとも連動できるだけでなく、いろいろなんか、まあ、ごちゃごちゃ……。」


ゼシカ「へえ。えっ、それIBM?」


さくら「はい。IBMセカンドライフ。なんで知ってますかね。」


ゼシカ「ぺけ先生、ご存じですか。」


ぺけ「うん。そう詳しくはちょっと知らなかったですね。やりたいな、みたいな話はしたことありますけど。」


ゼシカ「あー、そうなんだ。」


さくら「それはなんかちょっと面白いなと思ったんですけど、もちろんウェブ上での共有情報なのでセキュリティとかプライバシー問題はあると思うんですけど、それらが守られてる上での質問です。前置きちょっと長いですけど。」


ゼシカ「これからなんだ。これから質問なんだ。」


さくら「ま、それは置いといて。きっと日本では政府が進めるとしても電子カルテ化は閉じられたシステム――病院内とか医療関係機関内とか――。患者も共有可能な医療情報電子化を日本の医療界でどのように考えられていますか。」


ぺけ「いま、まさにそれ流の電子カルテのゴール――目標としては、みんな考えてます。電子カルテを進めようとしてる人は、最後は――いま言われたPHRですよね――パーソナルヘルスレコードとか、EHR――エレクトリカルヘルスレコードって言われるような、1患者1カルテ、1地域1カルテっていうやつですよね。要するに自分のカルテっていうのが日本中どこにいてでも見えるような仕組みにしていこうというのが、ゴールとしては、この電子レセコンを――電子カルテを真剣に考えてる人はみんなそれは考えてます。で、実際に日本でもウェブ型の電子カルテを、もう実際に診療で使える電子カルテっていうものも開発されてる。もう、いま。とくに、いまそれトピック的にもう数社から――数社っていうか、もっとあるかな――出てます。」


ゼシカ「えー。そうなんですか。」


ぺけ「はい。」


さくら「これが本格的に普及するのって、どれぐらいかかりそうですか。」


ぺけ「そう。そこが問題で、本当にさっき電子レセコンと連携が進まないっていう理由で――。たとえば、いま非常に理想的なウェブ型の電子カルテがあったとするじゃないですか。すでにいま電子カルテをそれと違うものに入れてる人が、それ入れかえてくださいよって言って、簡単に入れかえれるかどうか。」


さくら「あー。」


ぺけ「それに使いなれてて、便利で使ってるわけでしょ。それが、やめて、いままでお金かけてたのやめて、それに入れかえれるか。」


さくら「あー、やっぱりそこになるんですねえ。」


ぺけ「そう。けっきょく――たとえば国がね、もうこれじゃないとダメだよって完全に仕切っちゃって、国のほうで全部買いとって、もう病院に各所に配るぐらいのことやれば、それはあっという間に広がると思うんだけれども。」


ゼシカ「あー。地デジみたいな感じですね。」


ぺけ「そうそうそうそうそう。極端だったら、その各病院からお金払わないとダメだよって言って、やって、もうこれじゃなかったらもうダメですよって、やっちゃえばいいんだけれども、ただ、そこまでは電子カルテが便利なものにはなってないというのも事実。まだまだね、手で書いたほうが早い。」


ゼシカ「うーん、なるほどね。さきほどさくらが説明したIBMのバーチャル世界での登録ができたら患者も参加型になって、そうしたら結構広がるのかなって、いま聞いてて思ったんですよ。」


ぺけ「いまでもね、たとえば病院に行くときは自分のカルテ持ちなさいよっていって、言ったりすることもあるんですよね。」


ゼシカ「あっ、そうなんですか。へー。薬手帳ぐらいしか知らなかった。」


ぺけ「だけど、これは全然義務でも何でもないからあれなんだけれども――。自分の病気に関しては自分で分かるように全部先生に言われたこと全部書いて自分のカルテみたいなもん作ったらいいですよ、っていうようなことを言ってる人もいるんですよ。だから実際、いま言ったみたいに、そういうことをやったほうがいいんだけども、けっきょく先生のほうが電子化されてないからデータがもらえないわけですよね。実際、確かにお医者さんのほうも悪いところがあって、そういうの出したがらない人が多いっていうのも事実です。だけども本来はね、自分の健康って自分で守るものだよね。だから本当は病気なんていうのは、お医者さんが治すもんじゃないから。これ言うとね、ちょっと"えっ"って思うかもしれないけれど、病気はね――ちょっと話ずれるかもしれないけれど――病気っていうのは自分で治すもんなんですよ。」


さくら「うーん?」


ぺけ「で、お医者さんはそれをお手伝いするだけ。」


さくら「あ…、そっか。」


ぺけ「そう。自分の治癒能力で治さないと、絶対治らない。」


ゼシカ「あっ、自然治癒力と。」


さくら「薬もそうですもんね、だって。」


ぺけ「そう。薬もそれを手助けするだけ。」


さくら「お手伝い。」


ぺけ「お手伝い。だからおんなじ病気でおんなじような状態でも、患者さんが自分で治るんだって思う人のほうが、ずいぶん早く治ります。」


さくら「へえ。やっぱり気持ち次第なんですね。」


ぺけ「気持ち次第です。」


さくら「病は気からって。」


ぺけ「だから、まあちょっと話は違うかもしれないけれど、自分の健康は自分で守るって意味合いでは、本当にね、自分のデータっていうのはちゃんと自分で持って――。で、先生このデータなので診てください――っていうような形で診てもらえると、本当はどこでもできるわけですよね。これは実は電子化されなくたってできる話かもしれない。」


ゼシカ「あー、そうですね。まあ、面白く使えるかなって感じですかね、IBMのはね。」


さくら「遊び感覚ぐらい?」


ぺけ「だから体重なんかもね、自分ひとりでやってもなかなかあれだけれども、みんなで寄せあってやっていくと、がんばってできるよね、とかね。」


ゼシカ「あー、ダイエット、ダイエット。あっ、ゼシカ向きだー。」


さくら「あっ、ありますよ。体重計とか血圧計とか、そんなデータも。」


ゼシカIBMのやつ?」


さくら「はい。」


ゼシカ「それを取りいれたら結構、参加しやすいかもしれないね。」


さくら「そうですねー。じゃあ、ちょっとあんまり関係ないんですけど、最後に質問。最後の最後。」


ゼシカ「あれっ、最後、最後――。最後じゃなかった?」


さくら「もう、あの、最後の最後。はい。」


ゼシカ「先生、大丈夫ですか。ぺけ先生。」


ぺけ「大丈夫です。まだまだ。」


さくら「あとちょっと。全然関係ないんですけど、ぺけ先生の血液型を教えてください。」


ゼシカ「えっ、なんだそれ?」


ぺけ「何型だと思います?」


さくら「えー。やっぱりA型かなあ。」


ぺけ「あー、やっぱりそうなんだね。やっぱりA型です。はい。」


ゼシカ「あっ、そうなんだ。O型かと思った。」


さくら「A型なんですね。あったりー。」


ゼシカ「へえ。あっ、ちなみにゼシカはB型でーす。」


さくら「えーっと、えーっと、まあいいや。あえて聞くまい。わたし何型だと思います?」


ぺけ「AB型? 天才肌だから。」


ゼシカ「おーっ、買いかぶりー、みたいな。」


さくら「そんな感じで――。で、ゼシカさんは?」


ゼシカ「さっき言いましたよ。」


さくら「ちゃう。わたしわたし。何型だと思います?」


ゼシカ「えー。そんな大ざっぱだからOだよ。」


さくら「ひっどいなー。」


ゼシカ「几帳面なAじゃないのは確かだね。」


さくら「ひどいなー。まあ、O型なんですけどね。」


ゼシカ「ほらー、あたりー。なにくれるー? みたいな。」


さくら「まあまあ――。でもAB型って東大とか多いって言いますよね。天才肌でね。」


ぺけ「んー。天才肌とかいう言い方はしますよね。うん。」


さくら「で、あのう、血液型占いを医学的にみてどう思います?」


ゼシカ「それか、質問は。」


さくら「それがちょっと聞きたかった。」


ぺけ「あのう、生まれ年の占いって、性格が分かるって、あれありますでしょ。あれってどのくらい信用してます?」


さくら「うーん。よかったら信じるかな。」


ぺけ「そのレベルと同じですね。」


ゼシカ「あー、そうなんですね。」


さくら「当たるところもあるし……みたいな?」


ぺけ「そう。だから占いとして思うんなら、もう楽しめばいい。ただ医学的に人間の性格、4種類に分けれるわけないでしょうが。」


さくら「そうですよね。」


ゼシカ「じゃあ、そういうことを聞かれたときには、もう鼻で笑っちゃうって感じですか。」


ぺけ「あのう、だから、真剣な話題でするのは、もう大っ嫌いですね。」


ゼシカ「あー、そうなんですねー。」


ぺけ「だから、血液型占いを信用しないのがA型の性格だ――っていう言い方もします。」


さくら「あー、なるほどねー。」


ゼシカ「面白いなあ。去年とか流行ったじゃないですか。血液型説明書。自分の説明書みたいの書いてね。アホみたいに売れて……あっ、ごめんなさい。作ってる人ごめんなさい、みたいな感じで。すっごい売れましたもんね。」


さくら「あー、はいはいはい。あっ、学校で図書館にありました。このあいだ。」


ゼシカ「えーっ、信じらんない。」


さくら「置いてあった、置いてあった。」


ゼシカ「まあ、楽しむ程度で――ってことですね。」


ぺけ「そうそうそう。でもね、たとえばアメリカインディアンは――インディアンっていうのはあれだけども、ネイティブアメリカンですよね。あの人、全員O型ですからね。」


さくら「へっ。なんでです?」


ぺけ「民族的に。」


ゼシカ「あっ、そうなんですか。」


ぺけ「うん。じゃあ、みなさんおんなじ性格でしょうか?」


ゼシカ「ああ、そういうことだ。」


さくら「O型同士だったらO型しか生まれないし。」


ぺけ「そうです、そうです、そうです。」


ゼシカ「あー、そういうことか。へえ。あー、初めて知った。」


さくら「AとBだったら、ABになっちゃうし。」


ゼシカ「これから蘊蓄で知ってる? みたいな。血液型のときに。あ、言えるー。ありがとうございます、ぺけ先生。」


さくら「はい。では、あの、まあ今週はこの辺で。えー、では。のんびり大らか、O型のさくらと――。」


ゼシカ「マイペース女王さま型、B型のゼシカと――。」


さくら「さくらの友だちでもあり、スペシャルゲストのデジタルドクターの――。」


ぺけ「血液型占いを信じない、A型のぺけ先生でした。」


さくら「はい。どうもありがとうございましたー。えー、これからもよろしくお願いしまーす。」


ゼシカ「あっ、また続くんだ。あっ、じゃあよろしくお願いしまーす。」


ぺけ「また機会がありましたら、よろしくお願いします。」


さくら「はい。今週はこの辺で。」


ゼシカ「では、また来週。」


さくら「おやすみなさーい。」


ゼシカ「おやすみなさーい。」

著作けん……。

*1:とりあえず「連携」とは書きましたが、これって「連係」のほうが正しそうですよね。まあ大体似たような意味なんですが、「連携」のほうは意味がどちらかというと「協力」に近いようなって感じで。「連係」のほうは今の書きかただと分かりにくいけどもともとは「連繋」という字を書いたそうで、これだとモノとモノとのあいだをロープみたいなので繋いでる感がありますよねえ。