蒯良の子孫

わたしはまったく知らなかったんだけど、【雲子春秋】で、かれと子孫の名が引用されている。出典は『世説新語』の注に引く『晋陽秋』で、なかなか信頼度の高い史料だ。じつはわたしも『世説新語箋疏』を持っていたんだけど、本文だけをざっと見て、三国関係者を拾ってったので、まさか西晋の人物から注釈で祖先をさかのぼっているとは想像だにしてなかったのだ。

(原文)晉陽秋曰:「蒯氏襄陽人,祖良,吏部尚書。父鈞,南陽太守。」
(訳文)『晋陽秋』に言う。蒯氏は襄陽の人である。祖父の蒯良は吏部尚書、父の蒯鈞は南陽太守である。

蒯良は吏部尚書まで昇ったとのことだけど、尚書省に吏部が置かれたのはたぶん明帝の時代だと思うので、蒯良はこの時期まで生きていたってことになりそう。

で、興味ぶかいのは蒯良の孫娘が司馬炎の側室になっているらしく、とすれば、『襄陽記』によると蒯祺という人物が諸葛亮の姉を娶っており、また東晋の司馬睿の祖母が諸葛誕の娘であり、ここでも司馬氏と諸葛氏のつながりが蒯氏を通じて見いだされたってことだ。