訳者の解釈 読者の覚悟

ちくまの『三国志』臧洪伝にこう書いてある。

張超は、臧洪を大司馬〔燕王の〕劉虞のもとに派遣して〔劉虞を天子に擁立する〕相談をさせたが、

これだと張超が劉虞を帝位に就かせたがってるように見える。でも原文だと、

超遣洪詣大司馬劉虞謀。

で、擁立だとかは書いてない。

ちくまの文面を改めて見直してみても、亀甲括弧で訳者による挿入と本文とを区別してる。なのに、読み手がうかつにしてると擁立までが本文に書かれてたと思いこんでしまうのでちょー危険。訳者があのような補足(と訳注)をするのには合理的な理由があるので、問題はたぶん読み手の方にある。最近、なにかといえば訳者に責任転嫁する読み手が多いので。