関羽と馬泥棒

『古今図書集成』順天府に引く『奇園奇所奇録』


慈源寺の言い伝え。


姚彬はもともと黄巾賊の部将であり、姿形が関羽にそっくりであった。
母が病気になり、馬の肉が食べたいと言うので、姚彬は関羽のまたがる赤兔こそが最適だと考え、
そこで関羽に身を投じて旗本となった。


赤兔を盗みだして逃げさったが、ひづめの音に気づいた関羽の部下が、姚彬を縛りあげて関羽のもとに引きすえた。
姚彬は憤慨して「殺せ」と言ったが、いざ処刑されそうになると大声で泣きだした。
関羽が理由を訊ねると、「母親ととわの別れになってしまったからだ」と言った。
そこで関羽は姚彬を釈放してやった。