みんなパクリすぎ

『ル・タン』の批判にいたるまで。

シャルロット・ペリアン自伝

シャルロット・ペリアン自伝

フォブール・サンタントワーヌの家具商が売っていた伝統的な「布張り」の椅子は、木製のフレームのまわりに詰め物を張り、布地をかぶせて釘でとめる。ル・コルビュジエはそれを過去の遺物として告発した。採用できる新技術に対応していない。
この考え方は広まっていた。マルセル・ブロイヤーは一九二五年に、ヴァルター・グロピウスは一九二六年に、軽いスチールパイプをフレームに採用。シート、バック、アームには張った帆布の伸縮性を利用した。フランスでも、すでに一九二六年、ルネ・エルブストがスチールパイプのフレームにとりかかっていた。帆布は選ばず、とくに器械体操の用具に使用された「サンドゥ」タイプのゴムの引っぱり材でおきかえた。

グロピウスはバウハウスの創設者で、その初代校長。ブロイヤーはそこの生徒だったが、傑出した才能の持ち主だったので、のちに指導教官に昇進している。ブロイヤーが世界で初めてスチールパイプを家具の素材に用いたところ、グロピウスも真似したし、ル・コルビュジエとその弟子シャルロット・ペリアンも真似をした、という話。ここには登場していないが、バウハウス第三代校長のミース・ファン・デル・ローエも真似して、スチールパイプ製の椅子を制作している。グロピウスとミース、コルビュジエは建築の三大巨匠と呼ばれるが、揃いも揃ってブロイヤーの着想を模倣しているわけ。

ちなみに、ブロイヤーはヘーリット・トーマス・リートフェルトを模倣している。