大樹将軍と呼ばれた理由

馮異が「大樹将軍」と呼ばれたことはよく知られているらしいけど、なぜそう呼ばれているのか、その理由は『後漢書』に書かれているのに、当該部分の読み方がよく分からない。

後漢書』の原文ではこうなっている。

毎所止舎,諸将並坐論功,異常独屏樹下,軍中号曰「大樹将軍」.

この「諸将並坐論功」が問題。つたない漢文力からすると2通りの読み方ができそうな気がする。1つは、「諸将たちはみな腰をかけて手柄話に花を咲かせた」という文意に取る読み方。もう1つは「自分の手柄を主張して自分から先に座ろうとした」という文意に取る読み方。後者の場合なら「諸将並論功坐」とすべきじゃないかという気もするから、前者の方が正しいように思えてしまうのだが、ふと思いついて、webで『後漢紀』『東観漢記』を調べてみると次のようになっているのだった。

毎軍行止舎,諸将争功,異嘗屏処大樹下,軍中号為「大樹将軍」.
後漢紀』

毎止頓,諸将共論功伐,異常屏止樹下,軍中号「大樹将軍」.
『東観漢記』

要するに、後者が正解。「諸将たちはお互いの功績を主張して自分から先に座ろうとした」ということでした。まあ、イス取りゲームみたい。基礎的な読解力がないと、こんなつまらないところでつまづく。