魏の御史中丞

『太平御覧』所引『魏略』
明帝の時代、あるとき宮中で大宴会が催された。御史が白筆をかんざしにして階下に坐っていたので、主上が左右の者に「あれはどういう官僚だったか?」と訊ねると、侍中の辛毗は答えた。「あれは御史と申します。むかしは筆をかんざしとして違法行為者を告発しておりましたが、現在ではただ空席を埋めているだけです。」

『初学記』の引用では

帝があるとき大宴会を催したおり、殿中御史が白筆をかんざしにして階下に坐っていたので、主上が左右の者に「あれはどういう官僚で、なにを担当しておるのじゃ?」と訊ねたところ、左右の者は答えられなかった。辛毗が言った。「あれは御史と申します。むかしは筆をかんざしとして違法行為者を告発しておりましたが、現在ではただ空席を埋めて筆を耳の飾りにしているだけです。」

ぬ?

よく見たら『魏略』の方でも、「明帝時嘗大會殿中御史簪白筆側階而坐」とあるじゃないか。「殿中」を宮中と読み間違えた模様ナリ。